バレエとケガ

股関節の痛み 治療

股関節の痛みに対する治療法とバレエレッスンに早く復帰する方法

こんにちは。島田です。

股関節の痛みを治療するとき、まずどうすればいいか、悩んだりしますよね。特にバレエを踊っている場合、一般的な整形外科で治療を受けるほかに、パフォーマンスを落とさないためのケアも必要だったりします。


とはいえ、股関節の痛みに対して、どんな治療法・どんなアプローチがあるのか知らない状態では、自分にあった方法を選ぶ材料がないと思います。


そこで今回は、整形外科で行う股関節の治療法、バレエで股関節が痛いときはどうするのか、セルフでできることやバレエのレッスンで気をつけたいことについてお話します。ぜひ参考にしてみてください。



バレエ整体ハンドブック ページ

股関節の痛みに対する治療法リスト


まずは、整形外科で股関節の治療をするときにどんな方法があるのか、手術しないで行うものと手術するものリストにまとめました。

股関節 痛み 治療法 整形外科

手術しないで行うもの

普通に整形外科に行った場合、まず行われる方法です。


①運動療法(うんどうりょうほう)

股関節の周りの筋肉を強化して、股関節の負担や痛みを減らすのが目的です。病院では、リハビリの先生(理学療法士)がリハビリのメニューを組んで指導してくれます。正しいやり方を知っていれば、家で自分でやることもできます。


②温熱療法(おんねつりょうほう)

痛めている部分を温めることで、血流を良くして、炎症(えんしょう)を軽くして痛みを抑えます。温めることで、筋肉や関節が動かしやすくなるので、①の運動療法と組み合わせると効果が上がります。正直、ただ電気をかけるだけよりは運動と合わせた方がいいです。


③薬物療法(やくぶつりょうほう)

炎症を抑える薬をもらったり、股関節に注射(ヒアルロン酸注射、ステロイドなど)して痛みや炎症を抑えます。


④装具療法(そうぐりょうほう)

歩くときに、杖や登山用のステッキなどを使うことで股関節の負担を減らします。手術や先天性の変形で左右で脚の長さがちがうときは、専用の靴を履いて高さを揃えます。


手術する

レントゲンなどで異常があり、その変形や症状が強い場合、手術が適応になることがあります。代表的な方法がコレです。


①骨切り術(こつきりじゅつ)

骨盤(こつばん)や大腿骨(だいたいこつ・太ももの骨)など股関節の周りの骨を切って、股関節のハマる角度を帰ることで負担を減らす手術です。日本では、臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)といって股関節のハマりが浅い方や初期の変形性股関節症の手術法として採用されてきました。


②人工関節置換術(じんこうかんせつちかんしゅじゅつ)

股関節のすり減った軟骨と傷んだ骨を取り除いて金属やプラスチックなどでできた人工関節に置き換える手術です。人工股関節は、カップや大腿骨頭の代わりをするボール、軟骨の代わりになる部品がはまって股関節の動きを再現します。最近は保ちもいいようで10年、20年と使えるものもあるようです。


バレエで股関節が痛いときの治療法

バレエの場合も、股関節の痛みの治療に関しては同じです。でも、バレエの場合、使いすぎ(オーバーワーク)に加え、体の使い方のクセなどによる影響もあります。(参照:バレエで足の付け根が痛いときの3つのタイプと、すぐできる対策


そこで今回は、①痛みをとるための方法と、②効果をキープするための方法をお伝えします。


①痛みが出ている部分を調整して回復させる

もっとも効果的なのは、適切な環境(股関節や周りの筋肉などが使いやすい位置にある状態)で休ませることです。回復しやすい状態にするには、いろいろな方法があります。ただ、治療法がありすぎてよくわからなくなると思うので、目的別でざっくり分けるとこんな感じです。

目的別 股関節の治療法

・関節や筋肉を使いやすい位置に直す
カイロプラクティック、整体(関節や骨にアプローチするもの)、筋膜リリース


・使いすぎた筋肉の疲労をとる
マッサージ、整体(いわゆる、ほぐし系)、鍼灸、筋膜リリース


・筋肉にきちんと命令が通りやすくする
鍼、カイロプラクティックや整体(背骨の調整など)、PNFストレッチ


それぞれに得意な部分、相性があるので、ご自身でしっくりくるものを選んでください。


②正しいフォームで筋力のバランスを直す

せっかく治療したり、整えたりしても、そのままでは効果は長く続きません。使いすぎの筋肉と弱い筋肉とバランスをとったり、股関節の痛みを引き起こすような使い方を直す必要があるんですね。


いわゆる「治療を受けてもすぐ戻る…」という場合、このプロセスが抜けています。


筋力のバランスをとるための方法を、目的別でざっくり分けるとこんな感じです。

・必要な部分を使う
正しいフォームでのレッスン(形だけ真似せず丁寧に動かす)、リハビリトレーニング、PNFトレーニング


・身体の使い方を身につける運動教育
ピラティス、アレクサンダーテクニーク、ジャイロトニック、ジャイロキネシス、ヨガなど


どれも、感覚をつかむには、ある程度の練習が必要になります。形にこだわるとかえって危険ですし、継続できた方が当然効果も高いので、先生との相性をみてしっくりくるものを選んでください。ちなみに私の場合は、ジャイロトニックとアレクサンダーテクニークのワークに9年間通っています。


セルフでできる
股関節の痛みを起こしにくくする方法

股関節の痛みの治療法について、整形外科で行われることやバレエの場合の方法などをお話してきました。ここまで読んで、こう思ったかもしれません。

「自分でできるものは、何かないの?」


股関節の痛みを起こしやすい人全般で使えるものだと、中殿筋(ちゅうでんきん)、大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)といった股関節の外側の筋肉や、内転筋をほぐしてから、鍛える運動が有効です。


寝ながらできる基本編
中殿筋と大腿筋膜張筋のトレーニング


やり方
①横向きに寝る
②足をまっすぐ伸ばして、ほんの少し前にする(5度〜10度)
③かかとを突き出すようにフレックスして行う
④足を横に上げる
⑤足を閉じるつもりでゆっくり下ろす



股関節の外側を支える中殿筋や大腿筋膜張筋、足を閉じるようにゆっくり下ろすことで内転筋を使うことができます。


この方法で効果が出ない場合、足を上げるときに股関節ではなく骨盤(腰)を動かしている可能性があります。別のところが動いてて、肝心の中殿筋に効いていないんですね。


ご自身の筋力や股関節の具合に合わせて、タオルを何枚か重ねたところに脚をおいてやってみてください。重さがかかるポイントを調整することで、股関節を支点に動かすことができます。


応用編・片足でバランスをとる

基本編が楽勝になってきたら、よりたくさんの筋肉を使って股関節を安定させる応用編にチャレンジしてみてください。


片足でバランスをとると、股関節の痛みをとるのに必要な、中臀筋、大腿筋膜張筋、内転筋などをまとめて使うことができます。また骨盤を平行にキープすることで、上半身と股関節をつなぐ体幹の筋肉も使うことができます。


今回は、ヨガの、木のポーズ(ヴリクシャーサナ)を紹介します。

股関節の治療法 片足立ち

やり方
①片足で立つ
②もう片方の足は膝を曲げて軸足につける

足裏で軸足を擦りながらやると効果的。
③胸の前で手は両手を合わせて軽く押し合う
バランスがとりやすい位置ならどこでもいいですが、胸の前で手を合わせると上半身のバランスがとりやすく、骨盤を平行にキープしやすいです。


バレエのパッセも、同じ原理で軸足を擦りながら足を上げます。ただ、つま先で軸足を擦るにはターンアウトが強くないと、擦る力をキープできずに股関節が内側に回ってしまって足の付け根に負担がかかるんですね。


なので、股関節が痛い方の治療やリハビリで使うには少し難しいかなと思い、足裏をつけられるヨガの木のポーズを紹介しました(参照:パッセで開かない…。膝が外に向かない理由とレッスンでできる対策)。


バレエのレッスンで気をつけたいこと


バレエのレッスンは、それ自体が優れた整体です。ですが、整体であるがために、無理して変なフォームでやると余計に痛めてしまうことになりかねません。そこで、股関節が痛いときはこの2つだけでも注意してください。


①オーバーワーク(やり過ぎ)に注意

これは練習がんばり屋さんに多いんですが、回復しきらないところで無茶して、治りを遅くしたりさらに痛めてしまったりします。まだ炎症が治まらない状態で動く場合、全力で頑張らないといけないようなレッスンは危険です。


とはいえ、不思議なもので、完全に何もせずに休んでいたら痛みが消えるか、というとそうでもありません。 やはり、踊る以上はある程度のポーズを支えられるように筋力を戻さないといけないので、早い段階でレッスンに復帰した方がいいんですね。


お勧めは、段階的に復帰していく方法。



バーレッスンは筋肉や関節をバレエで使いやすい位置に整えるのが目的です。ここで、股関節がきちんと動かせる位置でキープできるようにしておくと回復が早まります(※音に合わせて動くとまだつらい場合は、無理せず休んでください)
そして、


今日は、バーまでやる

今日は、センターまでやってリハなどは休む
↓ 今日は、…


など、痛みが許容できる範囲で、徐々に負荷を上げながらリハビリしていった方が、早く練習に復帰できます。


②股関節を動かしてるつもりが別のところになってる

もう1つは身体の使い方の問題。股関節を動かしてるつもりが、実は足先だったり、お腹をだしたり、骨盤や腰を動かしていることがあります。大人からバレエを始めた方が、特に注意すべきポイントは「開いて!」です。


「ターンアウトを開いて!」、「プリエで開いて!」、「5番もっと開いて!」など股関節の開きを注意されたとき、見た目を合わせようとして、上でお話したような別のところでカバーして動かしてしまいます。


きちんとしたレッスンを受けていれば、終わるころには前より開きやすくなっています。焦らずに、無理なく開ける範囲のターンアウトで動いてください。その方が、結果として股関節を痛めずに可動域を広げていけます。


ターンアウトや股関節の硬さがなかなかとれない場合、レッスンで意識してほしいところはたった1つ『床を擦ること』です。まずはこの1点に注目して、レッスンを受けてみてください。ターンアウトがキープしやすくなります。(参照:バレエで股関節が硬い4つの原因と、レッスンで意識したい2つのポイント )


まとめ

さて、いかがだったでしょうか? かなりボリュームがあったので、今回のお話をまとめると、

股関節の治療法は…
手術しない方法(運動療法、温熱療法、薬物療法、装具療法)と手術(骨切り術、人工関節置換術)がある。


バレエで股関節に痛みがあるときの治療法は…
股関節の治療法に加えて
①痛みが出ている部分を調整して回復させる
②正しいフォームで筋力のバランスを直すがある。


股関節の痛みをセルフでケアするなら…
基本編:まずは、中殿筋や内転筋を使う運動がお勧め。きちんと股関節を支点にして動かすように注意。
応用編:片足でバランスをとる。


バレエのレッスンで気をつけたいことは…
①オーバーワーク
②股関節のつもりが別のところ使ってるケース
バーレッスンを中心とした段階的な復帰と、床をする動きでターンアウトをキープしやすくしていくのがポイント

ぜひ、明日からのレッスンで活かしてもらえば嬉しいです。


バレエ整体ハンドブックについて
バレエ 三角骨障害

三角骨障害、手術する前に知っておきたいこと

こんにちは。島田です。

ジュニアのバレリーナに

「ポアントでかかとが痛い」
「アキレス腱のあたりが痛い」

と言われたら、

「一度レントゲン撮ってもらってね」

と言います。
その理由は、その痛みの原因に三角骨がからんでないか確かめるためです。

「三角骨?」

って聞きなれない人もいるかもしれませんね。
ポアントで踊る人にとっては、けっこう大きな問題です。
ほとんどはきちんと対策することでなんとかなりますが、深刻なケースでは手術する場合もあります。

今回は三角骨障害について、手術を検討するまえに知っておいてほしい事をまとめました。
 

三角骨障害って?

 
足首の後ろで、
骨や、骨のかけらが挟まって
炎症を起こして痛くなることをいいます。
バレエ 三角骨障害
・ポアントで立つと痛い
・長時間つま先立ちすると痛い
・つま先が伸びきらない

というのがよくある症状です。
この症状、バレエを踊る上ですんごい邪魔ですよね?
これが起こる原因って一体なにかというと…
 

三角骨ができる原因

 
多くの場合は、足首のなかにある距骨(きょこつ)という骨の後ろ側が疲労骨折して起こります。

「疲労骨折?!」と思うかもしれませんね。
意外と気づかずになってるケースって多いんです。

ほかにも、距骨の変形で関節にはさまって痛いこともあります。
まれに、踵の骨が変形して同じような痛みを起こすケースがあります。
 

三角骨障害のダメージが悪化する2大要因

 
三角骨があっても痛くないケースもあります。
ただ、この2つをやると、はさまってる部分に負担が強くかかって痛いんですね。
それは…

①後ろ体重になってる

例えば、体重が後ろにかかると骨盤が保てません。
体重を支えられず、負担が足首にくるため、痛みが出やすくなるんです。

②トゥシューズがきつい。ポアントの角度が広がる

トゥシューズに関しては、靴選びなどでも対策ができます。
痛みを起こさないためには、後ろ体重にならないような対策が必要です。
 

バレエにおける三角骨の痛み対策は3つ

 
優先度の高い順番に
①間違った体重のかけ方を直す
②骨盤周りの強化(前もも、内転筋、殿筋)を強化
③足を強くする

です。

まず、間違った体重のかけ方を直す必要があります。
これは身体能力が高い人に多いんですけど、間違ってても無理やり立てちゃうんですね。
立ててるうちはいいんですけど、今回の三角骨のように、筋力でカバーできない障害もあります。
ルルベするときに、足からギュッと立っていたなら、頭からすっと体を持ち上げるように修正してあげる必要があります。

体重のかけ方がOKになったら、骨盤周りを強化します。
骨盤周りが安定すると、足にかかる体重がブレにくくなるので足首の負担が減ります。

足を強くするが最後なのは、間違った使い方で足を強くすると、ふくらはぎがギュッとなって痛みがさらに増すからです。
上の2つができてる状態で足裏を強くすると、支えがしっかりできて痛みが減ります。
 
 
三角骨の痛み対策がきちんとできると、前より踊りは上手くなってるはずです。
体重のかけ方が正しくなって、
骨盤周りが安定して、
足裏が強くなるんですから。

なるべくこういう状態にはなりたくないと思いますが、踊りをさらにレベルアップさせるチャンスと思って対策に取り組んでみてください。
 
 
 
P.S.
(もし手術するなら…)
三角骨障害は、多くの場合で手術の必要はありません。
でも、今回紹介した対策を散々やった上で、それでも難しい時は手術を考える必要があります。

その時、大切なのは術後のリハビリです。

参考までに、三角骨障害の手術をした時の術後リハビリはこんな流れで進みます。

手術後すぐに
①ポアント動作のリハビリ
この時、最初はリハビリの先生に動かしてもらいます。
それからちょっとずつ自分でもやっていきます。

手術後3日くらいで
②体重をかけないでフレックス
これは手術で切った部分が固まらないようにする運動です。
これやらないと、固まって動かない足首になり、プリエができなくなります。

③フレックスで体重をかけ始める
②のフレックスの角度がある程度OKになったら体重をかけ始めます。

手術後2週間〜1ヶ月
④手術の傷がふさがり始めたら
バーでプリエをし始めます。

これまでのフレックス運動で関節の可動域がちゃんと残ってれば、ここからさらにフレックスする可動域を増やすことができます。

 

…………

………
…と、リハビリの流れまで紹介しましたが、手術しないで直せるケースの方が多いです。
もちろん、手術して痛みがなくなるケースもあります。

でも、手術して三角骨を取り除いても、間違った体重のかけ方を続けていれば痛くなります。
また、手術後はどうしても足首の感覚が鈍くなり、足は弱くなります。
よっぽどのケース以外は、なるべく手術しないで直せた方が良いなというのが正直なところです。

バレエ ポアント

バレエ ハムストリングス 怪我

気をつけたいハムストリングスのケガ|4つの原因と対処・治療

ここのところ、ハムストリングスのケガでいらっしゃる方が多いです。
「発表会前で気合いが入り過ぎて(×_×;)」「ストレッチし過ぎて…」など起こり方にはいくつかパターンがあります。

そこで、今回はハムストリングスの怪我について、よくみる4つの原因と対処・治療について紹介します。
 

よくみる4つの原因

 
1.冷えた状態でのストレッチ
実は、ストレッチのし過ぎで傷めるケースがあります。その場合、考えられるのがコレ↑。
皮膚が温まっても筋肉の深い部分が温まっていなかったり、汗をかいた後で冷えているときにストレッチを勢いよくやると起こります。

2.股関節を使うテクニック
グランバットマン、パンシェアラベスク、2番に脚を上げたときなどに起こりやすいです。

3.体重が後ろにかかった状態で動かす足を上げたとき
2.と関係します。体重が後ろにかかったときに骨盤を支えきれないことが原因です。
骨盤をしっかり保たないと、股関節まわりがうまく使えません。ハムストリングスの上側が無防備になるのでケガしやすくなります。

4.ターンアウトし過ぎ
ターンアウトのし過ぎで、内側のハムストリングスに負担がかかります。この負担は、外側のハムストリングスを使えなくします。そのため、急な動きに外側のハムストリングスが対応しきれずケガしやすいのです。
 
 

対処・治療は?

□腫れ・熱感がある ▶ 腫れてる部分を冷やします

□腫れがおさまったら
(1)痛みをとる ▶ 鍼(吸い玉)、超音波、干渉波
超音波や干渉波は整形外科や接骨院などで受けられます。
(2)筋トレ(リハビリ的に少しずつ)
(3)テクニックの見直し

特に気をつけた方がいいのは「ハムストリングス上側」のケガです。上側のケガは治療に時間がかかります
あと、
・痛みが長期間続く(3ヶ月以上)
・慢性的
・しょっちゅう再発する
場合は、治療と平行して(3)のテクニックの見直しが必要です。体の使い方に問題があるとやはり治りません。
 
 
ハムストリングスのケガは、ダンサーさんにとってかなり痛手です。(治療期間や、その後のリハビリなど)
なるべくケガをせずに踊れるよう、体を大事に使ってあげてください^^

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