股関節

股関節の痛み 治療

股関節の痛みに対する治療法とバレエレッスンに早く復帰する方法

こんにちは。島田です。

股関節の痛みを治療するとき、まずどうすればいいか、悩んだりしますよね。特にバレエを踊っている場合、一般的な整形外科で治療を受けるほかに、パフォーマンスを落とさないためのケアも必要だったりします。


とはいえ、股関節の痛みに対して、どんな治療法・どんなアプローチがあるのか知らない状態では、自分にあった方法を選ぶ材料がないと思います。


そこで今回は、整形外科で行う股関節の治療法、バレエで股関節が痛いときはどうするのか、セルフでできることやバレエのレッスンで気をつけたいことについてお話します。ぜひ参考にしてみてください。



バレエ整体ハンドブック ページ

股関節の痛みに対する治療法リスト


まずは、整形外科で股関節の治療をするときにどんな方法があるのか、手術しないで行うものと手術するものリストにまとめました。

股関節 痛み 治療法 整形外科

手術しないで行うもの

普通に整形外科に行った場合、まず行われる方法です。


①運動療法(うんどうりょうほう)

股関節の周りの筋肉を強化して、股関節の負担や痛みを減らすのが目的です。病院では、リハビリの先生(理学療法士)がリハビリのメニューを組んで指導してくれます。正しいやり方を知っていれば、家で自分でやることもできます。


②温熱療法(おんねつりょうほう)

痛めている部分を温めることで、血流を良くして、炎症(えんしょう)を軽くして痛みを抑えます。温めることで、筋肉や関節が動かしやすくなるので、①の運動療法と組み合わせると効果が上がります。正直、ただ電気をかけるだけよりは運動と合わせた方がいいです。


③薬物療法(やくぶつりょうほう)

炎症を抑える薬をもらったり、股関節に注射(ヒアルロン酸注射、ステロイドなど)して痛みや炎症を抑えます。


④装具療法(そうぐりょうほう)

歩くときに、杖や登山用のステッキなどを使うことで股関節の負担を減らします。手術や先天性の変形で左右で脚の長さがちがうときは、専用の靴を履いて高さを揃えます。


手術する

レントゲンなどで異常があり、その変形や症状が強い場合、手術が適応になることがあります。代表的な方法がコレです。


①骨切り術(こつきりじゅつ)

骨盤(こつばん)や大腿骨(だいたいこつ・太ももの骨)など股関節の周りの骨を切って、股関節のハマる角度を帰ることで負担を減らす手術です。日本では、臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)といって股関節のハマりが浅い方や初期の変形性股関節症の手術法として採用されてきました。


②人工関節置換術(じんこうかんせつちかんしゅじゅつ)

股関節のすり減った軟骨と傷んだ骨を取り除いて金属やプラスチックなどでできた人工関節に置き換える手術です。人工股関節は、カップや大腿骨頭の代わりをするボール、軟骨の代わりになる部品がはまって股関節の動きを再現します。最近は保ちもいいようで10年、20年と使えるものもあるようです。


バレエで股関節が痛いときの治療法

バレエの場合も、股関節の痛みの治療に関しては同じです。でも、バレエの場合、使いすぎ(オーバーワーク)に加え、体の使い方のクセなどによる影響もあります。(参照:バレエで足の付け根が痛いときの3つのタイプと、すぐできる対策


そこで今回は、①痛みをとるための方法と、②効果をキープするための方法をお伝えします。


①痛みが出ている部分を調整して回復させる

もっとも効果的なのは、適切な環境(股関節や周りの筋肉などが使いやすい位置にある状態)で休ませることです。回復しやすい状態にするには、いろいろな方法があります。ただ、治療法がありすぎてよくわからなくなると思うので、目的別でざっくり分けるとこんな感じです。

目的別 股関節の治療法

・関節や筋肉を使いやすい位置に直す
カイロプラクティック、整体(関節や骨にアプローチするもの)、筋膜リリース


・使いすぎた筋肉の疲労をとる
マッサージ、整体(いわゆる、ほぐし系)、鍼灸、筋膜リリース


・筋肉にきちんと命令が通りやすくする
鍼、カイロプラクティックや整体(背骨の調整など)、PNFストレッチ


それぞれに得意な部分、相性があるので、ご自身でしっくりくるものを選んでください。


②正しいフォームで筋力のバランスを直す

せっかく治療したり、整えたりしても、そのままでは効果は長く続きません。使いすぎの筋肉と弱い筋肉とバランスをとったり、股関節の痛みを引き起こすような使い方を直す必要があるんですね。


いわゆる「治療を受けてもすぐ戻る…」という場合、このプロセスが抜けています。


筋力のバランスをとるための方法を、目的別でざっくり分けるとこんな感じです。

・必要な部分を使う
正しいフォームでのレッスン(形だけ真似せず丁寧に動かす)、リハビリトレーニング、PNFトレーニング


・身体の使い方を身につける運動教育
ピラティス、アレクサンダーテクニーク、ジャイロトニック、ジャイロキネシス、ヨガなど


どれも、感覚をつかむには、ある程度の練習が必要になります。形にこだわるとかえって危険ですし、継続できた方が当然効果も高いので、先生との相性をみてしっくりくるものを選んでください。ちなみに私の場合は、ジャイロトニックとアレクサンダーテクニークのワークに9年間通っています。


セルフでできる
股関節の痛みを起こしにくくする方法

股関節の痛みの治療法について、整形外科で行われることやバレエの場合の方法などをお話してきました。ここまで読んで、こう思ったかもしれません。

「自分でできるものは、何かないの?」


股関節の痛みを起こしやすい人全般で使えるものだと、中殿筋(ちゅうでんきん)、大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)といった股関節の外側の筋肉や、内転筋をほぐしてから、鍛える運動が有効です。


寝ながらできる基本編
中殿筋と大腿筋膜張筋のトレーニング


やり方
①横向きに寝る
②足をまっすぐ伸ばして、ほんの少し前にする(5度〜10度)
③かかとを突き出すようにフレックスして行う
④足を横に上げる
⑤足を閉じるつもりでゆっくり下ろす



股関節の外側を支える中殿筋や大腿筋膜張筋、足を閉じるようにゆっくり下ろすことで内転筋を使うことができます。


この方法で効果が出ない場合、足を上げるときに股関節ではなく骨盤(腰)を動かしている可能性があります。別のところが動いてて、肝心の中殿筋に効いていないんですね。


ご自身の筋力や股関節の具合に合わせて、タオルを何枚か重ねたところに脚をおいてやってみてください。重さがかかるポイントを調整することで、股関節を支点に動かすことができます。


応用編・片足でバランスをとる

基本編が楽勝になってきたら、よりたくさんの筋肉を使って股関節を安定させる応用編にチャレンジしてみてください。


片足でバランスをとると、股関節の痛みをとるのに必要な、中臀筋、大腿筋膜張筋、内転筋などをまとめて使うことができます。また骨盤を平行にキープすることで、上半身と股関節をつなぐ体幹の筋肉も使うことができます。


今回は、ヨガの、木のポーズ(ヴリクシャーサナ)を紹介します。

股関節の治療法 片足立ち

やり方
①片足で立つ
②もう片方の足は膝を曲げて軸足につける

足裏で軸足を擦りながらやると効果的。
③胸の前で手は両手を合わせて軽く押し合う
バランスがとりやすい位置ならどこでもいいですが、胸の前で手を合わせると上半身のバランスがとりやすく、骨盤を平行にキープしやすいです。


バレエのパッセも、同じ原理で軸足を擦りながら足を上げます。ただ、つま先で軸足を擦るにはターンアウトが強くないと、擦る力をキープできずに股関節が内側に回ってしまって足の付け根に負担がかかるんですね。


なので、股関節が痛い方の治療やリハビリで使うには少し難しいかなと思い、足裏をつけられるヨガの木のポーズを紹介しました(参照:パッセで開かない…。膝が外に向かない理由とレッスンでできる対策)。


バレエのレッスンで気をつけたいこと


バレエのレッスンは、それ自体が優れた整体です。ですが、整体であるがために、無理して変なフォームでやると余計に痛めてしまうことになりかねません。そこで、股関節が痛いときはこの2つだけでも注意してください。


①オーバーワーク(やり過ぎ)に注意

これは練習がんばり屋さんに多いんですが、回復しきらないところで無茶して、治りを遅くしたりさらに痛めてしまったりします。まだ炎症が治まらない状態で動く場合、全力で頑張らないといけないようなレッスンは危険です。


とはいえ、不思議なもので、完全に何もせずに休んでいたら痛みが消えるか、というとそうでもありません。 やはり、踊る以上はある程度のポーズを支えられるように筋力を戻さないといけないので、早い段階でレッスンに復帰した方がいいんですね。


お勧めは、段階的に復帰していく方法。



バーレッスンは筋肉や関節をバレエで使いやすい位置に整えるのが目的です。ここで、股関節がきちんと動かせる位置でキープできるようにしておくと回復が早まります(※音に合わせて動くとまだつらい場合は、無理せず休んでください)
そして、


今日は、バーまでやる

今日は、センターまでやってリハなどは休む
↓ 今日は、…


など、痛みが許容できる範囲で、徐々に負荷を上げながらリハビリしていった方が、早く練習に復帰できます。


②股関節を動かしてるつもりが別のところになってる

もう1つは身体の使い方の問題。股関節を動かしてるつもりが、実は足先だったり、お腹をだしたり、骨盤や腰を動かしていることがあります。大人からバレエを始めた方が、特に注意すべきポイントは「開いて!」です。


「ターンアウトを開いて!」、「プリエで開いて!」、「5番もっと開いて!」など股関節の開きを注意されたとき、見た目を合わせようとして、上でお話したような別のところでカバーして動かしてしまいます。


きちんとしたレッスンを受けていれば、終わるころには前より開きやすくなっています。焦らずに、無理なく開ける範囲のターンアウトで動いてください。その方が、結果として股関節を痛めずに可動域を広げていけます。


ターンアウトや股関節の硬さがなかなかとれない場合、レッスンで意識してほしいところはたった1つ『床を擦ること』です。まずはこの1点に注目して、レッスンを受けてみてください。ターンアウトがキープしやすくなります。(参照:バレエで股関節が硬い4つの原因と、レッスンで意識したい2つのポイント )


まとめ

さて、いかがだったでしょうか? かなりボリュームがあったので、今回のお話をまとめると、

股関節の治療法は…
手術しない方法(運動療法、温熱療法、薬物療法、装具療法)と手術(骨切り術、人工関節置換術)がある。


バレエで股関節に痛みがあるときの治療法は…
股関節の治療法に加えて
①痛みが出ている部分を調整して回復させる
②正しいフォームで筋力のバランスを直すがある。


股関節の痛みをセルフでケアするなら…
基本編:まずは、中殿筋や内転筋を使う運動がお勧め。きちんと股関節を支点にして動かすように注意。
応用編:片足でバランスをとる。


バレエのレッスンで気をつけたいことは…
①オーバーワーク
②股関節のつもりが別のところ使ってるケース
バーレッスンを中心とした段階的な復帰と、床をする動きでターンアウトをキープしやすくしていくのがポイント

ぜひ、明日からのレッスンで活かしてもらえば嬉しいです。


バレエ整体ハンドブックについて
バレエ 股関節 つまる

バレエで股関節がつまる3つの原因と対策

こんにちは。島田です。

バレエを踊っていて「股関節がつまってる」と言われたことありませんか? もしかしたら、言葉は聞いたことあるけど、股関節が「つまる」ってイメージがしにくいかもしれませんね。


バレエで「股関節がつまる」と言われる場合、『足を伸ばしたい時に、股関節周りの筋肉が縮んでしまい、伸びないこと』を指すことが多いです。股関節の可動域が減るので、足を上げて何かをするときに、つまりを感じることも。


股関節のつまりをとることで、足を伸ばしやすくして、股関節の可動域を増やすことができます。結果、足を上げたり、上げた足をキープしやすくできるようになります。


これまでたくさんのクライアントを診てきたなかで、股関節がつまるときは、大きく分けて3つの原因からアプローチすることで改善しやすくなりました。


股関節のストレッチをやってるのになかなか難しいと思ったら、参考にしてみてください。


バレエ整体ハンドブック ページ

1.どんなときに股関節がつまる?

そもそも、どんなとき股関節がつまるんでしょうか? それは、踊りの振り付けで、足を上げて動かしたり、キープするときです。

例えば、
・アラベスクで足が後ろに上がらない
・バットマンで足が横に上がらない
・デベロッペで足を上げた状態から伸ばしにくい
・パッセでお尻が硬くなる
などなど。

これは、股関節がつまることで、それぞれの動きで縮めて(固めて)使っちゃう筋肉がでてくるからです。

バレエ 股関節がつまるパターン

①後ろに上げるとき
お尻の筋肉(大殿筋や中殿筋など)や、腰の筋肉が縮まる。

②横に上げるとき
中殿筋(前側)や太ももの外側が縮まる。内ももの筋肉(内転筋)が固まって伸びきらない。

③前に上げるとき
前もも(大腿直筋)が縮まって、もも裏の筋肉(ハムストリングス)が伸びきらない。


2.股関節がつまる3つの原因

股関節がつまる原因を、大きく分けると次の3つになります。

股関節がつまる原因

(1)ターンアウト不足

股関節のつまりで、すべてに共通する原因があります。それが、股関節の内旋(ないせん・内側に回ること)です。

股関節は、体重がかかったり、足が遠くに伸びる時に内旋する性質があります。なので、足をまっすぐ伸ばそうとするには、ターンアウトをし続ける必要があるんです。

途中でターンアウトが足りなくなることで、股関節が内旋して外側の筋肉に力が入りやすくなります。

その結果、奥にある小さい筋肉が使われる前に大きい筋肉が動きます。その分、股関節がロックされるので、つまりやすくなるんですね。


(2)前ももの筋肉と、ハムストリングスのアンバランス

前ももの筋肉が強くなりすぎたり固めて使うと、ハムストリングスが弱くなります。その結果、ひざ裏が固まって、もも裏も伸びなくなります。(参照:バレエで「膝が伸びない」とは?3つの原因とレッスンでできる対策 )

ハムストリングスは坐骨にくっつきます。ハムストリングスが固まってしまうと、足を上げるときに筋肉に引っ張られてお尻が落ちた状態になるので、股関節がつまります。


(3)上半身の不安定

上半身の不安定さは、(1)(2)を、どちらも引き起こしやすくなります。

理由は、片足で体を支えることができないので、股関節が、動くためじゃなくて体を支えるために働くからです。

上半身の不安定を引き起こすものはどんなものがあるか?バレエでは、次の3つがメジャーです。

バレエ 肩が上がる あばらが開く 骨盤が立たない

3.股関節のつまりをとるには?

レッスンのなかで股関節のつまりをスッキリするには、どんなところに意識をもっていたら良いか? 大きく分けると次の3つになります。

股関節のつまりとる対策

(1)ストレッチの精度を上げる

「ストレッチはいつもやってる」と思いますよね。 でも、股関節がつまっているということは、次のNGポイントをやっているかもしれません。

・反動をつけている
・いきなり広げようとして無理な体勢で行う
・呼吸を止めている

これらは、どれも筋肉を縮めてしまいます。 筋肉を伸ばしながら使える範囲を増やすことで、股関節のつまりをとることができます。

お勧めのストレッチパターンは、
①ストレッチで伸ばす体勢にする
②そのまま息を吐き切る
③鼻から息を吸う
④肺が膨らんだら、息を4秒止める
⑤口から息を吐き切る(吸った時間の2倍かける)
⑥一度体勢を直す
⑦もう一度、ストレッチで伸ばす体勢にする

ストレッチの体勢は、いつもやってるもので構いません。 ⑦の時点で、①よりも伸ばせる範囲が広がっていれば成功です。 これを3セット行います

(2)ターンアウトをキープする

先ほどお話した通り、股関節がつまるときに共通するのは『股関節の内旋』です。 つまり、ターンアウトがキープできていれば、股関節のつまりは起きません。

ターンアウトをキープしやすくするためには、どうすればいいか? もちろん、レッスンの動きを『言われた通りにできる』ことが一番です。

といっても、すべてはなかなか難しいですよね^^;

そこでお勧めしたいのは、タンデュやロンデ・ジャンブで、【きちんと床を擦ること】です。床をきちんと擦って動かせると、股関節は自然と開きやすくなります。 (参照:バレエで股関節が硬い4つの原因とレッスンで意識したい2つのポイント


(3)バーレッスンで顔と手に注意を払う

バーレッスンは、フロアやセンターで踊るための体づくりの時間です。ここで、どこまで自分をコントロールできたかで、バーから離れた後のパフォーマンスが変わります。

だんだん動きが複雑になってくると、『足の動きに意識がとられて、手や顔まで意識できない』ことも多いと思います。

でも、実はこの手や顔まで合わせて使うこと自体が、体幹と股関節をつなげて動かすカギになるんですね。 片足で足を使うときは、上半身がカギになります。上半身が安定することで、股関節のつまりをとることができます。

具体的にどう注意を払うのか?

・手は、指の付け根がバーから離れないか(押し付けるわけじゃない)
・顔は、首から上で動かすのではなく、背中から動かす

まずは、手と顔に注意を払う『だけ』でも大丈夫。それだけでも、つまりを抑えるには効果的です。


まとめ

さて、いかがだったでしょうか?

「股関節がつまる」って言われたときに、どこから直せばいいか、悩んでいたかもしれません。

まずは、
・ストレッチの精度と呼吸の組み合わせ
・ターンアウトをキープする
・顔や手に注意を払うことで体幹の不安定を取り除く

から取り組んでみてください。

股関節のつまりは、特にシビアなポーズをとるときに起きやすいです。 なので、ここがクリアできるとかなり踊りの幅が広がります。


ぜひ明日からのレッスンで活かしてもらえたら嬉しいです。


バレエ整体ハンドブックについて


バレエ 股関節 硬い

バレエで股関節が硬い4つの原因とレッスンで意識したい2つのポイント

こんにちは。島田です。

バレエを踊っていて「股関節が硬い…」って思ったことありませんか?
あるいは、教室で注意をされてる人を見たことがあるかもしれません。

でも、そもそも「股関節が硬い」って、どんな状態なんでしょうか?
原因とレッスンでできる対策をまとめたのでどうぞ^^



【1】「股関節が硬い」とは?

バレエをしていて「股関節が硬い」という場合、
・骨盤から足の付け根にかけて動かしづらい
・足の動かせる範囲が自分の理想より狭い
ことを言います。

どんなときに「股関節が硬い」と感じるのか?

例えば、
足を上げようとするとき、
アラベスクするとき、
開脚で足を開くとき、
などなど、普段踊っていいて足を使う時が多いです。

この時に、なんとなく足の付け根がきつかったり、動かしにくいと感じていたら『股関節が硬い』のかもしれません。


【2】股関節が硬いと何が問題?


では、股関節が硬いと、何が問題なんでしょうか?
いろいろありますが、大きく次の5つに分けられます。

(1)柔軟性が落ちる
(2)ターンアウトしづらい
(3)足が上がりにくい
(4)膝が伸びない
(5)足の付け根が痛くなりやすい


1つずつみていきましょう。

(1)柔軟性が落ちる

後でお話しますが、股関節は踊る時に足を使う以外にも、体を支える仕事もしています。

股関節が硬いと、体を支えるのに余計な力が入ります。
すると、体を守るために筋肉が緊張するので、動きが縮こまってなかなか伸びません。


(2)ターンアウトしづらい


ターンアウトは、股関節から脚(付け根から足先)を一本で外に開く動きです。
その根元にある股関節の動きが硬ければ、もちろんターンアウトもしづらいです^^;

(3)足が上がりにくい

股関節が硬いと、足を上げるときに本来使いたい筋肉を使えません。

大きい筋肉や、前ももの筋肉を余分に使うことになります。
そのせいで、後でお話する通り足の付け根を痛める原因になることも。


(4)膝が伸びない

プリエやジャンプで踏み切る時は、股関節を使います。

股関節の動きが硬いと、ハムストリングスも伸びにくく、ひざ裏が伸びません。
軸足の膝(ひざ)が曲がってしまうのは、ここが原因です。


(5)足の付け根が痛くなりやすい

動かない股関節で、足を無理に上げようとすると、変なところに力が入ります。

その結果、一部の筋肉だけに負担がかかって、足の付け根を痛める原因になります。



【3】股関節が硬い原因は?

「では、股関節が硬くなってしまう原因はどんなものがあるの?」って気になりますよね?

原因は種類別に、4つあります。


(1)股関節のはまってる角度が悪い
(2)股関節周りの靭帯が硬い
(3)股関節周りの筋肉が硬い
(4)股関節の使い方がズレている

それぞれ掘り下げていくと…

(1)股関節のはまってる角度が悪い

いくら股関節が硬いといっても、『直接的に股関節が固まる』なんてことはありません。

でも、「骨格に問題があるんじゃないか」と心配する人もいるかもしれません。 股関節の骨格的な問題による影響は、股関節のはまる角度によって違います。( ターンアウトは骨格の影響を受ける?2つの目印

変形性股関節症など、レントゲンで変形が見られる場合は、その影響もあります。


(2)股関節周りの靭帯が硬い

股関節は、太ももの骨の先(大腿骨頭・だいたいこっとう)が骨盤に、カポッと、はまり込んでできています。

股関節の可動域は、靭帯である程度制限されています。
理由は、動きすぎると、脚が体を支えられないからです。
安定性を上げるために、靭帯で保護しているんですね。

股関節の周りにある靭帯には4つの種類があります。

股関節 靭帯

①腸骨大腿靭帯(ちょうこつだいたいじんたい)
足を後ろに上げる動きをコントロールしています。(股関節の伸展制御)
人体最強の靭帯と呼ばれています。

②坐骨大腿靭帯(ざこつだいたいじんたい)
③恥骨大腿靭帯(ちこつだいたいじんたい)
④大腿骨頭靭帯(だいたいこっとうじんたい)

それぞれ、骨と骨をつないで股関節を安定させています。
なので、これらの靭帯が伸びにくいと股関節の動きも制限されます。

また、直接は関係ないんですが、バレエを踊っていて『外側の筋肉を使いすぎる』と硬くなる靭帯があります。

それが、腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)です。
この靭帯は、骨盤から太ももの横を通って膝の外側までつながります。
膝関節を安定させている靭帯です。

大殿筋と大腿筋膜張筋の停止腱が、腸脛靭帯にくっつくので、これらを使いすぎると硬くなります。

この靭帯が、硬くなっているサインは…
・足の付け根(前から外)が痛い
・太ももの外が硬くなる
・膝の外側や、すねの外側が痛い

腸脛靭帯 硬い

(3)股関節周りの筋肉が硬い

股関節を動かす方向は、全部で6種類あります。

それぞれの動きで
・使われる筋肉が硬かったり、
・一部だけ頑張ってバランスが悪かったりすると、
その分、動かしにくいので『股関節が硬く』なります。

参考までに、股関節の動きで使う筋肉をまとめておきました。
それぞれの筋肉は、『その動きに使われる順』に並んでいます。

屈曲(脚を前に上げる動き)
腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)、大腿直筋、大腿筋膜張筋、恥骨筋、長内転筋

伸展(脚を後ろに上げる働き)
大殿筋、大腿二頭筋(長頭)、大内転筋、半膜様筋、半腱様筋、中殿筋(後部)、梨状筋

外転(脚を横に上げる動き)
中殿筋、大殿筋(上部)、大腿筋膜張筋、小殿筋

内転(脚を内側に寄せる動き)
大内転筋、大殿筋(下部)、長内転筋、短内転筋、薄筋、恥骨筋

外旋(股関節を外回しする動き)
大殿筋、大腿方形筋、内閉鎖筋、中殿筋(後部)、小殿筋(後部)、腸腰筋、外閉鎖筋、梨状筋

内旋(股関節を内回しする動き)
中殿筋(前部)、小殿筋(前部)、大内転筋、恥骨筋、長内転筋、大腿筋膜張筋

なかには、名前を知っている筋肉もあるかもしれません。
動きが 重なるものもありますが、20種類くらいあります。

「〇〇筋を使って!」だけだと、うまく動かせないことがあります。
その理由は、これだけの筋肉を同時にコントロールしながら使う動きなのに、1つの筋肉に頼ろうとしてしまうからです。

筋トレならOKですけどね^^;動きのなかで1つの筋肉に意識を集中するのは、股関節が硬い状態になりやすいです。

(4)股関節の使い方がズレている

股関節だと思って使ってる所が、ズレていることもあります(バレエで股関節が硬い意外な理由)。

また、(3)でお話した通り、1つの筋肉に意識を集中させる使い方も、股関節を硬くします。
そして、それ以上に、バレエを踊るとき、股関節の使い方がズレてしまう大きな原因があります。

それは、体幹や上半身が不安定だということです。

いわゆる、肩が上がったり、あばらが開く(お腹が出た)状態や、骨盤が立たないまま、股関節を一生懸命使おうとしても、股関節は硬いままです。

理由は、股関節が動きではなく、体を支えるために使われてしまうから。

そもそも体が支えきれていない状態では、関節を守るために、股関節周りの靭帯や筋肉がギュッと硬くなります。

その状態で、いくら股関節を柔らかくしようと思っても、硬いままです。




【4】バレエで股関節の硬さをとる2つのポイント

「じゃぁ、バレエで股関節の硬さをとっていくにはどうすればいいの?」 と思いますよね。

バレエのレッスンは、この硬さをとるための構成がされています。
なので、レッスンの動きをきちんと行うことで、だんだん硬さはとれていきます。

といっても、フロア・センターでの動きで、これらを意識するのは難しいですよね^^;

なので、『バーレッスンで体を作る』のがお勧めです。

これも動きはたくさんあるので、ポイントだけ押さえたいと思います。
具体的には、以下の2つのポイントを意識できると、股関節が動かしやすくなります。


①バーから、指の付け根をなるべく離さない
②足を動かすときは、床を、思ったよりも強めに擦る



この2つのポイントは、 先ほどお話した、股関節が硬くなる原因に対して、『最小限の意識で最大の効果』につながるために絞り絞ったものです。

①は、肘、肩甲骨から、体幹(あばら、首、背中、骨盤)までを安定させるためのものです。

握るのとは違います。
握ると肘が落ちて肩甲骨が上がります(肩が上がる)。
かといって、手がバーから離れると、体を支える部分が脚に切り替わるので、股関節が硬くなります。

大事なのは、指の付け根か手首の付け根が、バーから離れないこと(吸い付いた感じと表現されることも)です。

こうすることで、腕から体幹に必要な力が伝わって体を支えてくれるので、股関節を動かしやすくなります。

②は、ターンアウトをキープするための筋肉を使い続けるためのものです。

なぜ、タンデュで床を擦るのか?
なぜ、足を伸ばした後に床を押すのか?
なぜ、パッセは軸足を通るのか?
なぜ、ロンデ・ジャンブするときは、1番を通るのか?

これらは、すべてターンアウトをキープするための筋を使い続けるための動作だからです。

なので、床をするのが弱かったり、足を伸ばすときに、かかとや足が床から浮きやすいなと思ったら、『強く擦る』だけでも股関節の硬さをとるのに役立ちます



まとめ

さて、いかがだったでしょうか?

普段、何気なく「股関節が硬い」って思ってたけど、
なぜ硬いのか?
硬いと何が問題なのか?
どこからやればいいか?
…と、迷子になっていたかもしれません。

こうやって整理してみると、自分がどんな状態か見えやすくなったのはないでしょうか?

知ったからといって、いきなりすぐには、柔らかくなりません。

でも、レッスンでやりがちなNGが見えたり、先生から受けたアドバイスで股関節に関係なさそうなことも「実は股関節とつながってるかも」と気づいて、レッスンの質を上げてもらえたら嬉しいです。