こんにちは。島田です。
今回は、体が硬くて開脚などのストレッチが苦手な方向けに、『ストレッチがうまくいきにくい原因と、寝ながらできる股関節の詰まり解消ストレッチ』についてお話します。
「ストレッチしたくても、股関節周りがガチガチでどうしようもない!」って思ったことありませんか?
例えば、
☑️開脚で座ると足が90度くらいしか開かず、後ろに倒れそうになったり…
☑️脚をまっすぐ伸ばして座る(長座)がつらかったり…
☑️あぐらや足裏を合わせて座る合蹠(がっせき)で膝が浮いてしまったり…
といった感じで、股関節を柔らかくしたくても、「そのストレッチ自体がやりづらい」って経験があるかもしれません。
でも、その原因はあなたの体の硬さではなく… もしかしたら、その『ストレッチの頑張り方』が、ちょっと違っていてうまく効いてないだけかもしれないんですね。
これに気づいて対処することで、ストレッチの効率も良くなります。
そこで、この記事では、次の2つについてお話します。
まず前半では、『頑張るほど逆効果?ストレッチの効果を下げてしまう、隠れブレーキ』とは一体何なのか。開脚のストレッチを例に解説します。
そして後半の実践編では、そのブレーキを外し、体の硬い方でも無理なく『寝ながら簡単にできる、股関節とお尻のストレッチ』についてお話します。
ぜひ最後までご覧ください。
では早速、本編にいきましょう。
目次
ストレッチが逆効果になる「隠れブレーキ」とは?
さきほど、『ストレッチの頑張り方が違ってうまく効いてない』とお話しました。その原因が、代償運動(だいしょううんどう)いわゆる隠れブレーキなんです。
代償運動とは、本来動かしたい部分の代わりに、他の部分が勝手に動いてしまうことを言います。
例えば、開脚で体を前に倒したいのに
・背中が丸まって首に力が入ったり(猫背)
・骨盤が後ろに倒れてしまったり(骨盤後傾・こつばんこうけい)。
することですね。
イメージでいうと、『穴の空いたバケツに、一生懸命水を注いでいる感じ』で、一生懸命ストレッチで頑張ってる分が、代償運動という穴から全部漏れてしまっているんですね。
これでは、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもので、伸ばしたいところに効きません。
むしろ、この状態で頑張りすぎて腰や付け根が痛くなったり、首や肩が凝ってしまったなんて方もいます。
じゃぁこのポーズは、どんな動きを代わりにやってるのか?
1つは、足を開いておへそが前に行ける状態にすること。
もう1つは、股関節を軸にして、骨盤ごと前に傾けて前屈することです。
順番にお話します。
開脚で足を開くカギはお尻を「ゆるめる」と「使う」の合わせ技
ストレッチというと筋肉を『伸ばす』ことがメインになりますが、体を支えたり、関節が引っかからないように『使う(動かす)』のも大事なんですね。
開脚で足を開く場合も、
・腰の根本〜お尻の表面の筋肉→伸ばす、ほぐす
・お尻の下の筋肉→動かす、使われる
方のがやりやすいです。
お尻の下にあるインナーマッスルが十分使えなかったり、筋力が足りなかったりすると…
足を開こうと思っても股関節の動きが止まるので、体が後ろに傾いて首が緊張したり、腰やお尻がガチッと固まります。
開脚前屈のカギは付け根からの前屈
そして、開脚して上半身を前に倒そうとするときのカギになるのは、『付け根からの前屈(股関節を軸に骨盤を前に傾ける動き)』です。
これがスムーズにできると、背中をリラックスさせた状態で上半身を倒すことができ、お腹が床に近づきやすくなります。
一方、付け根からの前屈ができていないと、骨盤を前に傾けるのが足りない分を、背中や首、顔で補おうとしちゃうんですね。
結果として、
①顔を床に近づけようとする
②背中が丸まる
といった代償運動が起きます。
でも、ここまでの話を聞いて、
「大事なのはわかるけど、それができてら今これ見てないんだよね…」
「体が硬くて、意識してもうまくできない…」
って思った方もいるんじゃないでしょうか?
そこで、ここからは、そんな体が硬い方でも、無理なくできる形で、今お話した部分にアプローチする簡単なストレッチを紹介します。
寝ながらできる!股関節とお尻のストレッチ
それが『寝ながらできる、股関節とお尻のストレッチ』です。
この方法は
☑️股関節が硬い(付け根が詰まる、お尻が硬い)
☑️骨盤が立たない(長座が苦手、開脚で座れずにストレッチできる体勢にならない)
といった方向けの内容です。
このストレッチで、
・お尻の筋肉(大殿筋・だいでんきん、中殿筋・ちゅうでんきん、深層外旋六筋・しんそうがいせんろっきん、など)
・姿勢を支えたり、太ももを持ち上げる筋肉(腸腰筋・ちょうようきん)
にアプローチすることで、隠れブレーキを外しやすくして、股関節の動きをスムーズにします。
簡単そうでうまくできない原因とコツ
方法を一言でいうと、『寝ながら足をクロスさせて、手で引き寄せるストレッチ』です。
これだけ聞くと、「なんだ、簡単じゃん!」って思うかもしれませんが…
コレ、実際にやってみると…
・組んだ足の膝が横に向かない
・膝を抱えようとしても手が届くところまで足が上がらない
といった感じで、
「あれ、思ったよりうまくできないな…」
「合ってる?コレ?」
ってなることも多かったりするんですね。
もし、寝っ転がれるスペースがある所でこの記事をご覧の方は、ここで一度ご自身の体でチェックしてみてください。
…いかがでしょうか?
もし、やってみた方で『うまくできないな…』と感じたとしても、問題ありません。ストレッチをやりやすくするコツがあるんですね。
それは、『小分けに分解する事と、呼吸するときの工夫』です。
具体的には、いきなりお尻のストレッチの体勢を目指すんじゃなくて、パーツごとに次の3つのステップに分けるとスムーズに行きます。
①組んだ足の膝を横に向けやすくする
②立てた膝を手で抱えられるところまで上げやすくする
③2つを組みわせる
では、具体的なやり方をみていきましょう。
(※動かし方のニュアンスは動画でもご確認いただけます)
Step1:足を組む+深呼吸➡︎膝を横に向けやすくする
まず、お尻のストレッチをスムーズにするため、膝を横に向けやすくします。
仰向けで膝を立てて足を組みます。
足の組み方は、足首を太ももに乗せて、膝を横に向ける感じです。
足を組んだら深呼吸をします。
ここで、ストレッチの効果を上げるために、呼吸のやり方にちょっとした工夫を加えます。
両手で脇腹(みぞおちより下の肋骨)を骨盤に向かって押し下げながら、ふーっと息を吐いて、鼻から吸います。これを3回繰り返します。
脇腹を骨盤に向かって押し下げながら呼吸をする事で、股関節が動かしやすくなるので膝が横に向けやすくなります。
Step2:膝を抱える+深呼吸➡︎立てた膝を持ち上げやすくする
次に、腸腰筋のスイッチを入れるため、立てた膝を持ち上げやすくします。
片方の膝を曲げて、胸のほうへ引き寄せます。
曲げた膝を片手で抱えましょう。
もう片方の手で、脚の付け根のすぐ上にある脇腹を、骨盤の方向へしっかり押し下げます。
その状態を保ったまま、深呼吸を3回繰り返します。
足首と膝は90度に曲げて、膝を顔に近づくように引き寄せると、股関節の動きがスムーズになります。
Step3:Step1、2を組み合わせて股関節とお尻をストレッチする
最後に、Step1とStep2の動きを組み合わせて、このストレッチの本来の目的である「股関節とお尻の同時ストレッチ」を完成させます。
Step1と同じように、膝を立てて足を組みます。
次に、床についている方の足を持ち上げ、太ももの裏、または膝を両手で抱えます。
Step1と2で準備で股関節の動きがスムーズになるので、前よりも楽に足が持ち上がり、組んだ足側のお尻が伸びるのを感じられるはずです。
お尻にストレッチ感が出てきたら、脇腹を骨盤に向けて引き下げながら深呼吸を3回行います。
お尻が十分伸ばされることで、股関節の硬さも取れます。
終わったら、反対側も同じように行います。
もしStep3の体勢がまだ少し難しいと感じたら、焦らなくて大丈夫です。 先にStep1とStep2だけを2〜3回繰り返してみてください。小分けにすることで、スムーズにストレッチできるようになりますよ。
このストレッチを続けると、どうなる?
そして、この方法に慣れてくると、毎回ステップを分解しなくても、こんな動きが楽にできるようになっていきます。
✅ 手を使わずに、クロスした脚をすっと持ち上げる
✅ 脚を上げたまま、空中で左右の脚をスムーズに組み替える
✅ 脚をさらに深く胸に引き寄せ、お尻のストレッチ効果を高める
骨盤を安定させたまま正しくストレッチを続けることで、お尻や股関節の柔軟性は着実にアップしていきます。
ぜひ、ご自身のペースで続けてみてください。
まとめ
では、まとめいきましょう。
今回は、『ストレッチが逆効果になる隠れブレーキと、そのブレーキを外すための寝ながらできる股関節とお尻のストレッチ』について解説してきました。
今回は股関節とお尻をゆるめる方法でしたが、お伝えしたエッセンスは他のストレッチでも活かせます。
それを3つにまとめました。
まず1つ目は、『頑張らない』こと。
力任せにギューギュー伸ばしたり、反動をつけるストレッチは、あの『隠れブレーキ(代償運動)』を起こしてしまいます。痛みを感じたら、それは『やりすぎ』のサイン。
無理なくできる範囲でやった方が、結果的に柔軟性も上がりやすいです。
2つ目は、『分解する』こと。
難しいポーズや、「今の自分の体の硬さだと体勢がきついな」と思えるストレッチは、今回のように簡単なパーツに分けるとスムーズにやりやすくなります。
そして3つ目が、息を『吐いてから吸う』こと。
つい「吸ってから吐く」と意識しがちですが、息を吐いてリラックスするときに、姿勢を支える力まで一緒にゆるんでしまうことがあります。
ストレッチで体を伸ばしたら、そこから息を「ふーっ」と吐き切ってみてください。そのあとで鼻で吸うと、姿勢は崩さずに、筋肉をさらに伸ばしやすくなります。
ぜひご自身のペースに合わせて試してみてください。
さて、今回お伝えした「頑張らない」「分解する」「呼吸を工夫する」といった、ストレッチを効かせるためのエッセンス。
実は、この考え方をベースに、開脚前屈を達成するための具体的なセルフケアを、このたび1冊の本にまとめました。
運動が苦手な方でも、今日のように「これならできそう!」と感じていただける、呼吸を活かした簡単なケアばかりを集めています。あなたの体が変わる、はじめの一歩として、きっとお役に立てるはずです。
ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。また次回お会いしましょう。