こんにちは。島田です。
バレエをやってると、ピルエットなどの回転系で、「うまく回るコツないかな〜?」思うことがあるかもしれません。
先日、某有名バレエショップでイベントを行ったんですが、そこでお会いした方からも「回転の練習で最初はいいんだけど、続けてるとだんだん目が回っちゃう…。そんなときの対策は、やっぱり三半規管を鍛えた方がいいの?何かコツというか、ココ使うといいよみたいなところはある?」というようなご質問をいただきました。
そこで、
・どこを使うといいのか、その解剖学的な理由
・そこを使うためにどんな対策があるのか
これを知っておくとレッスンのヒントになると思いますので、是非ご覧ください。
ピルエットなどの回転系で使いたい【背中の筋肉】
ピルエットなどの回転系でどの辺の筋肉を使ったらいいかということですが、結論から先にいうと、使いたい筋肉の1つは脊柱起立筋です。
脊柱起立筋群は、背中に広くつく筋肉で、背中や首を支えたり、体幹をねじるときに使います。
フィギュアスケートのジャンプでの回転と違い、バレエの回転はリセットするタイミングがあります。じゃないと、フェッテで32回転とか…地獄ですよね^^;あれが可能な理由の1つが、脊柱起立筋です。
ここがどう回転に関係するのかというと…、この図の表を見てもらうとわかりやすいと思います。
この表は、体の回転で使う筋肉を順番に並べたものです。
そのなかで、脊柱起立筋や回旋筋といった背中の筋肉は、体の回転、首の回転、どちらにも使えるんですね。
・回転の量は、上位の2つ、いわゆる横腹筋と呼ばれる腹斜筋や胸鎖乳突筋などの首の筋肉がメイン
・回転をコントロールするときは、脊柱起立筋や背中の筋肉がメイン
と押さえておくと、少しイメージしやすくなると思います。
レッスンで回転の練習をしているとき、『顔が斜めになってしまったり』、『顔で回ってるって注意されたり』することがあると思いますが、これは一生懸命回ろうとしすぎて首だけに力が入ってるときによくなります。
つまり、背中の筋肉を使うことで、顔を水平に横に向いたり(=顔をつける)、回転するときの大回りを防ぐことができるんですね。
背中使わずにピルエットで回ろうとすると…
逆に、起立筋を回転に参加させずに
・顔を向けることで回転しようとしたり
・腕の勢いに合わせて回ると、
回りすぎた分や顔が斜めになった分の修正もしつつ、バランスもとりつつなので、『耳にある三半規管や前庭器官といった平衡器官』や『頭を支える首の筋肉』に負担が増えます。
なので、首がしんどくなったり、気持ち悪くなるんですね。
脊柱起立筋を使いやすくするには?
「じゃ、脊柱起立筋をどう使うの?」って思いますよね?
背中を使うとコントロールできるとはいえ、いきなり回転するときに背中を意識してもうまくいきません。
背筋の筋トレをして起立筋を鍛える…でもいいんですが、以前紹介した背中の筋膜リリースを使った方法で背中の筋肉を使いやすくすることから始めるのもアリです。
まず、背中の皮膚、皮をつまんで上に引っ張ります。
続いて、皮膚を上に引っ張ったまま体を前に倒します。このとき、フォームは気にしなくてOKです。引っ張ったまま倒せばリリースできます。
あとは、背中でつまむ部分を上にしていって、ステップ1〜2を繰り返すだけです。
詳しいやり方は、以前別の動画で紹介しているので、そちらをご参照ください。
前屈しやすくする方法としてお伝えしていますが、背中の筋膜リリースなので脊柱起立筋も使いやすくなります。
まとめ
まとめると、
バレエのピルエットを回りやすくするコツとして、使いたい筋肉は『脊柱起立筋』です。背中を使わずに反動で回ろうとすると、のけぞって大回りしちゃったり、首に余計な負担がかかります。
「回転系が苦手だな」と思ったら、背中の筋膜をリリースして脊柱起立筋を使いやすくしてから練習するようにすると、軸がブレにくくなるのでおススメです。
回転するときに、背中の筋肉を参加させることで、小さい軸でクルッと回転しやすくなります。
ぜひ試してみてください。
では、また次回お会いしましょう。
【参考文献】
体の回転と頭の回転の違いや、腹筋優位の場合との違いについて調べた時のものです。理学療法的な話なので、バレエと直接関係する内容ではありませんが、ピルエットするときによく使われる『顔をつける』や『背中を使って回る』という表現を理解するヒントになると思います。
1)座位での脊柱回旋動作の際に頭部固定位と非固定が脊柱回旋角度に及ぼす影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2014/0/2014_0971/_pdf/-char/ja
2)腰痛患者の脊柱回旋可動性に関与する筋活動
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Ca0198/_pdf/-char/ja
【参考資料】
耳の働き(平衡器官の基礎知識について)
耳|からだとくすりのはなし|中外製薬
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/pdf/karada003.pdf
PS.
今回の話にもちょっと出てきましたが、バレエで腹筋を使うのは、ただお腹に力を入れればいいわけでありません。
特に体幹の筋肉を鍛えるときは、細〜いストローを使って息を吸い上げたり吐いたり、と呼吸を活かす方法が多いです。
そこで、続きの動画として『腹筋が弱い人も体幹を強化する秘訣』をご用意しました。
そちらから続きをどうぞ。