知るだけでレッスンの効果が上がる3つの秘訣

ダンサーにとって内転筋が大事な理由とターンアウトするときの役割

バレエ 内転筋

こんにちは。島田です。

バレエ教室で踊っているときに、

「もっと内もも使って!」

「内転筋が弱い…」

「かかとや内ももを前に押し出して!」

って聞いたことありませんか?

『内もも大事なんだろうな〜』とはわかっていても、どう大事なのかハッキリしにくいかもしれません。

そこで、今回は、ダンサーにとって内ももの筋肉がなぜ大事なのか、内転筋にはどんな種類があるのか、内転筋を使えるようにするにはどうするのか、についてお話します。

内ももの筋肉ってどこ?

バレエで内ももの筋肉というと、どんなイメージですか?

いわゆる『太ももの内側にある筋肉かな?』と思うかもしれません。そして、実は『太ももの裏側のことも内もも』と言っていたりします。

つまり、バレエで内ももの筋肉と言ったときは、次の2つを言ってることが多いです。

①内転筋(ないてんきん)

②ハムストリングスの一部

内転筋は、パラレル(つま先まっすぐ)で立ったときに、太ももの内側にある筋肉です。

そして、ハムストリングスは太ももの裏の筋肉ですが、足をきちんとターンアウトしたときは、ここが内ももになっています。これは感覚的な話ではなく、きちんと本にも載っています。

脚をターンアウトした時に、「内側の筋肉」とよばれるのが「ハムストリング」という筋肉です。

引用元 『インサイドバレエテクニック』大修館書店 より抜粋

今回は、このうちの内転筋について、掘り下げてお話します。

ダンサーにとっての内転筋が大事な理由

股関節を内転する(内側に寄せる)筋肉には、種類あります。

①いわゆる内転筋のグループ

②大臀筋(だいでんきん)などの内転に関係する筋肉

内転筋の働きは、両足を引き寄せることです。

この内転する働きがダンサーにとって大事な理由。

それは、体の軸を作る役割があるからです。

例えば、片足立ちでいろいろ足を動かすポーズがあるとき、中臀筋(ちゅうでんきん)などと一緒に働いて骨盤を安定させます。内転筋と外転する筋肉のバランスが悪いと、骨盤がズレて軸足が使えません。

ダンサー 内転筋
内転筋が働くことで片足でバランスが取りやすい

軸や、バランスを取るには内転筋が必要なんですね。

ちなみに、大臀筋は、いわゆる解剖学的に名前のついた内転筋じゃありません。でも、大殿筋の下側は股関節の内転もしてくれるんですね。

しかも、大殿筋は、筋肉のつながりで脊柱起立筋ともつながっています。なので、内転筋の仕事である体の軸を作るという意味では結構重要です。(参照:ターンアウト徹底解説

内転筋のグループにはどんな種類がある?

いわゆる内転筋には、5つの筋肉(大内転筋、長内転筋、短内転筋、恥骨筋、薄筋)があります。

正直、バレエを踊るに当たって名前は覚えなくてもいいです^^;

基本的な働きは、先ほどお話した通り、脚を寄せること。

でも、それぞれ付いてる位置が違うので微妙に役割が違います。なので、それぞれのキャラがなんとな〜くわかると、役立つシーンもあるんですね。

例えば、具体的なシーンでいうと、

・足の付け根(ソ径部)が痛いとき → 長内転筋にトラブル

・膝が曲がるとき → 薄筋が縮んでる

・骨盤が前傾してしまっているとき → 薄筋、恥骨筋

などなど。

なので、ここでは、それぞれの特徴をサラッとお話します。場所だけでもイメージできると何かあったときに対応しやすいですよ。

①大内転筋(だいないてんきん)

特徴は

前:内転筋として働く

後ろ:ハムストリングスの一部として働く

(アラベスクやアチチュードで使ってる・後述)

②長内転筋(ちょうないてんきん)

③短内転筋(たんないてんきん)

特徴

ソ径部の痛みの原因になりやすい(特に長内転筋)。

④恥骨筋(ちこつきん)

骨盤の前にあるため、大腿骨を恥骨に引き寄せる(屈曲と内旋)

⑤薄筋(はっきん)

特徴

股関節と膝両方に働く

(下肢が固定された状態で)骨盤の前傾

ターンアウトのとき、内転筋グループは何してる?

では、ターンアウトするときに内転筋はどうしてるかというと…。

主に、ターンアウトで股関節を開くときに、外側の筋肉で開かないように足を寄せて、お尻の奥にある筋肉(深層外旋筋・しんそうがいせんきん)を使いやすくしています。(参照:ターンアウト徹底解説

また、ターンアウトしたときの内ももを前に押し出すのも内転筋たちの働きです。

それ以外にも、こんなところで内転筋が関係します。

・足を前に上げるときに使う

大内転筋以外の内転筋(恥骨筋、長・短内転筋、薄筋)は、ターンアウトした状態で足を前に上げるときに腸腰筋と一緒に使います

・足を後ろに上げるのに使う

じゃ、大内転筋はどうしてるかというと、ハムストリングスの一部として足を後ろに上げるときに使います。

しかも、ただ後ろに上げるんじゃなく、内転筋として足を引き寄せるので、アラベスクやアチチュードで足が外に開くのを防いでくれてるんです(ありがとう大内転筋!)。

内転筋が使えないデメリット

内転筋の働きは、足を引き寄せて、体の軸を作ることです。

なので、内転筋が使えないと、

・膝が外にいく

・体の軸が作れない

というバレエに限らず、踊りをする上で困った状態になります。

どう困るのか?

具体的には、次の5つの症状が起こりやすくなるってことです。

①片足バランスがやりづらい・軸足が弱い

②骨盤がズレる

③股関節を動かす感覚が鈍くなる(動きが硬くなる)

④O脚になる、膝が曲がる

⑤膝痛、腰痛

内転筋を使えるようにするには?

「内転筋が使えた方が踊りにプラスなんだな〜」とか、「だからやたらと内転筋を注意されるんだ」というのがなんとなくイメージできてきたかもしれません。

で、ここで、『内転筋の筋トレをしよう』でもいいんですが…

いわゆる縮めて使う感じだと、膝が曲がってターンアウトしづらいです。

内転筋を活かして、股関節を小さく回してターンアウトするにはどうすればいいでしょうか?

実は、バレエのレッスンのなかに、『内転筋を伸ばしながら使えるシーン』がちゃんと用意されているんですね。

例えば、

・2番ポジションから4番に移るとき(このときは、腸腰筋も一緒に使います)

・タンデュで伸ばした足を戻すとき(1番でもそうだし、特に5番で横から戻すときなんかまさに)

・ロンデを膝を曲げずに行うとき

・デガジェ

などなど、ことあるごとに内転筋を使うシーンがあります。

なので、まずはここを意識しながらやるのがオススメです。

筋トレは、必要なら先生が勧めてくれます。

もし内転筋を伸ばしたまま使う練習をするなら、レッスン前に

2番ポジションをきちんとやった後に、3番ポジション(かかとを軸足の土踏まずにつける)にするのがオススメです。

2番ポジションを先にやるのは骨盤を安定させるためです。(参照:ターンアウトをサポートするズレない骨盤

2番→3番は、内転筋を使う良い運動ですが、最近のレッスンでは省略することが多いですから。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか?

今まで、バレエで内ももの筋肉(内転筋)が大事だとは知っていても、なんとなくモヤっとした感じだったかもしれません。

特に、片足でバランス取るのが苦手なら、内転筋はマストなので、少しでもレッスンで活かせる形で伝われば何よりです^^

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