知るだけでレッスンの効果が上がる3つの秘訣

【つま先伸ばす】足のどこからやると効率良い?|バレエ筋肉ハンドブックより

こんにちは。島田です。

今回は、拙著『バレエ筋肉ハンドブック』から、「もっと綺麗につま先を伸ばすには、足のどこから意識するといいのか」について解説します。

つま先を伸ばすためにまず足で鍛えたいのは

バレエは、つま先立ちで踊ります。
先生からも「もっと足を強く!」「つま先伸ばして!」って言われた経験があるかもしれません。

でも、「足って筋肉いっぱいあるし、どこから鍛えればいいのかわからない」って人もいるかもしれません。 足裏の筋力をつけることも大切ですが、美しく強いつま先を手に入れるために、まず鍛えたいのは…

足首の強さです。

一体なぜか?それは、足の動きにどんな筋肉が使われてるかを知るとイメージしやすいのでちょっとみてみましょう。

足首が強くなると、つま先を伸ばすときの指も強くなる

これは、それぞれの足の動きと、メインで使う筋肉、サブで使う筋肉を表でまとめたものです。 メインは、その動きや筋力担当で、サブは効率よく動かす調整役のようなものですね。

注目してほしいのは、底屈(つま先を伸ばす動き)と、背屈(足首を反る動き、フレックス)は、他の動きで使う筋肉と重なっているということです。というか、指と足裏の動きの調整で使う内在筋以外、ほぼかぶってます。つまり、底屈と背屈がしっかりできるようになっていると、他の動きにも使えるんです。

なので、足首が強くなることで、つま先も伸ばす時の指も強化されるんです。

つま先伸ばすの頑張るとアキレス腱やかかとが痛くなる原因

でも、こんな経験ありませんか?

足首を強くしようとしたり、もっとつま先を伸ばそうとして頑張ってるけど
「ふくらはぎばっかり太くなる」「アキレス腱やかかとが痛くなることがある」

もし、そうだとしたら、つま先を伸ばすときに、『かかとを引っ張り過ぎている』可能性大です。
どういうことか?

同じつま先伸ばす筋肉でも違いがある

実は、同じ「つま先を伸ばす」でも、くっつく場所によってどこを引っ張るかは違ってきます。

かかとを引っ張る :ふくらはぎ
土踏まずを引っ張る:後脛骨筋、長腓骨筋
指まで引っ張る :長母趾屈筋、長趾屈筋

このなかで一番強いのはふくらはぎの筋肉なので、なんの準備もせずにいきなりつま先伸ばそうと力を入れると、ふくらはぎの筋肉ばかり使いやすいんです。

ふくらはぎに頼らず足首を強化するちょっとしたコツ

じゃ、どうしたらふくらはぎばかりに頼らず、かかとを痛めることなく、足首を強化できるか……。その ポイントが、
フレックス です!

つま先を伸ばすのと逆の動き? って思いますよね。そこには、 足の構造にヒミツがあります。 ポイントは足首にある距骨という骨です。

ポイントは距骨の動き

足の構造は大きく2つのパーツがあり、内側と外側でセットで 働きます。


距骨が動くことで、足首も強くなるし、つま先も伸ばしやすくなります。
距骨が含まれるのは、内側のグループです。

ふくらはぎの筋肉は、かかと(赤)を引っ張るので、距骨をあまり動かしていません。 でも、つま先を伸ばす筋肉で一番強いので、フレックスなしで普通にルルべをすると、やっぱりかかとを引っ張りやすいんですね。 これを、意識で他の筋肉も使おうとするのは、相当難しいです。

距骨の動きやすいと、かかともラク

つまり、距骨を動かす側のグループに付いている筋肉を使いやすくするために、フレックスを入れるというわけです。

ウォーミングアップやレッスンでフレックスをして距骨を動かしておくことだけでも、ルルべをしたり、ポワントを履いたときにふくらはぎ以外の筋肉も使いやすくできます。

レッスンで意識したいポイントは

また、バレエのレッスンは、つま先を伸ばす前に、フレックスの要素が入ります。

たとえば、プリエしたとき、かかとが浮かないように深くしゃがむには、フレックスを使います。 そうすることで、膝が横に開いて一段 深くしゃがむことができます。 加えて、股関節も使いやすくなり、アキレス腱も伸びます。

ポイントは、プリエでフレックス(足首を反る動き)しても指は浮かさないこと。

また、足を伸ばす動き、たとえばタンデュでも、伸ばした脚を戻すときに床を擦る動きでフレックス(足首を反る動き)が入ります。
ポイントは、床をしっかり擦ること。そうすることで、次に足を伸ばすときに、よりつま先が伸ばしやすくなります。

加えて、ターンアウトしやすくなり、骨盤がズレないようにキープすることで体幹も強化できます。

ちょっとした動作の違いですが、こういう細かいところが積み重なると大きな違いになっていきます。
ぜひ試してみてください。

体の仕組みを知ってもっと踊りを楽しみませんか?

一生懸命に、がむしゃらに頑張る。
大人からバレエをされている方は、特に頑張り屋さんが多いので、「とにかく数をやろう」とか「とにかくこのトレーニングしてみよう」となる傾向があります。

その姿勢は素晴らしいですが、時に無理な使い方をして体を痛めてしまうケースも。
今回は、よくご相談を受けていた「つま先伸ばそうと頑張ると、ふくらはぎが太くなったりアキレス腱やかかとが痛い」原因とその対策についてお話してきましたが、本当にちょっとした認識の違いで効果は全然違ってきます。

ぜひ、ご活用ください。

最後に、本書『バレエ筋肉ハンドブック』の冒頭に載せたメッセージで締めくくりたいと思います。

その練習がどの筋肉に効いていて、なんのためにやっているのか、イメージできるようになることで、同じレッスンでもその効果は変わってきます。

特に、レッスン時間や体力を考える と、回数で勝負するわけにはいかない大人バレリーナさんには、 自分の” できる” を増やすヒントになるはずです。

出典『バレエ筋肉ハンドブック