こんにちは。島田です。
バレエを踊っていて、股関節の硬さに左右差を感じることありませんか?例えば、
・ターンアウトするとき、右と左の開き方が違う(右はちゃんと開くのに左は股関節がつまって開きづらい)
・足を上げるとき、右足は上がるのに、左は途中で股関節がつまって上げられない
・片足で立つとき、左足は軸端から上までつながるけど、右足ではどうも足に踏ん張りがきかなくてバランスが取れない
などなど…、もしかしたら、どれか経験があるかもしれません。
このように股関節の硬さによる左右差があるままだと、動かせる範囲(可動域)が左右で違ったままレッスンを受けることになるんですね。なので、そのまま続けてるとどうなるか?例えば、
・片方の足だけ太くなってしまう
・足の付け根を痛めてしまう
・振り付けで左右差が目立ってくる
・アラベスクする時も、片方の足は上げようと思っても、力が入んなくて足が上がらない
なんてこともあるんですね。今回はバレエを踊ってる時、股関節の硬さに左右差が出る時の隠れた原因について、お話していきます。
股関節の左右差ができる隠れた原因
では、この左右差はどこから来るのかということについて。
「股関節の硬さに左右差があるから、股関節の周りの筋肉だったり、骨盤周りが固くて動かないんじゃないかな」って思う方がいるかもしれません。もちろんそうなんです。そうなんですが、その前の問題ってのもあったりするんですね。股関節の硬さ使いづらさに左右差がある人には共通点があります。
それは、「左右差がある人は首に問題がある」ということ。
これ首が痛いとか、寝違えで首が動かない、っていう話ではありません。バレエの動きで言うと「顔がつけられない」っていうことなんですね。股関節の左右差があるときは、同時に、顔をつける動きもやりづらくなってることが多いんです。
「顔をつける」って?
「顔をつける」というのは、バレエで使われる言葉です。どういうことを指すのか?ポーズをしたり、動く時に、腕や足の動きに合わせて首を動かすことを言います。
こうすることによって、胴体とか手足の連動スムーズにするんですね。そのおかげで、踊る時にフワッと動くことが出来たり、体を素早く切り替えし、可動域を増やすことができます。
教室で「顔をつける」という言葉を聞くのは、ピルエットするときが多いと思います。下のイラストで比べてみるとわかる通り、顔をつけられないときは、まっすぐに横に向こうと思っても首が途中で曲がって斜めになっちゃうんですね。そうすると重心がズレてしまうので、回りづらくなります。
一見、「顔をつける=ピルエットのときの首の動き」と思うかもしれませんが、他の動作でも顔をつけることで体幹や手足を使いやすくしています。この、顔がつけられるかどうかで、股関節の左右差に影響がでるんですね。
首と股関節のつながり
この首の動きや顔をつける動きと、股関節の左右差がどうつながるか。
顔をつけて動かすことができないと、体幹と手足をつなげて動かせないので、一連の動きがバラバラになってしまうんですね。結果的に動きにくかったり、可動域が狭まってしまいます。実際どう影響するか?
顔をつけて右側に向いた時は、左の股関節が開きやすくなります。これ左に向けば右が開きやすくなります。これは、運動連鎖という、体の動きが連動していくパターンです。また、姿勢反射といって、目の向きに合わせて姿勢を保つ筋肉が自動で動いています。この体の仕組みを使った動きは、バレエのレッスンでもきちんと組み込まれています。
例えば、タンデュ。
前に伸ばすタンデュをするとき、動かす方の足を向いて(軸足の反対を向いて)、動かす方の足を伸ばすと思います。(右前のタンデュであれば、斜め右を見る)これは顔をつけることで、軸足側のターンアウトを開きやすくして、床を押しやすくしているんですね。その状態で足を伸ばすことで、軸足側も伸ばす側も両方ストレッチすることができます。
逆に、これができない状態で動かすと、お腹や骨盤が外に広がってしまって、結果的に股関節が内側に入ってきてしまうんですね。この状態で一生懸命動かしても、股関節周りの筋肉で頑張る感じになるので、足の付け根の周りや腰に負担がかかってしまうんです。
特に、このパターンで足が上がらない場合、自転車のチェーンが外れたみたいな感じで股関節が使いづらくなります。股関節自体はゆるいのに、空回りしちゃうんですね。なので、動くと周りの筋肉がグッと硬くなって可動域が狭まります。
レッスンでできる対策
「じゃ、普段のレッスンでどこを気をつければ、股関節の左右差がなくなるの?」って思いますよね?ポイントは2つあります。
①顔をつけてから足を動かす
右に向けば左が、左に向けば右の股関節が開きます。レッスン始まる前のウォームアップに、この状態でタンデュやプリエなどをして、つながってなかった所をつなげて股関節を動かすようにしていくことで、股関節の硬さ(動きの悪さ)をとっていくことができます。
特に股関節硬い方は、顔もつけづらいはずです。(横向くと斜めになるとか…)なのでそこに気づいて直していく。っていうのが、バレエの動きで左右差をとるのにオーソドックスかなと。
このとき、効果を上げるポイントは、背中や胸の高さぐらいから首だと思って首を使うこと。頚椎(けいつい・首の骨)だけで首を動かすと、100%斜めになりますどうしても顎が上がってしまったり、体幹までつなげて動かすのがやりづらいんですね。『胸の辺りの高さから上を首』として使うことによって、手足がつながりやすくなります。そこを意識してもらうと顔をつけて足を動かす時に連動をうまく活かせます。
②顔をつける=手足を使いやすくしてるという意識を持つ
バレエのレッスンでは、顔をつけて体幹と手足をつなげて動く前提でレッスンが進みます。今まで顔をつけることを意識してなかったなら、体幹と手足の連動がスムーズじゃないせいでけっこう損してるはずです。動きが硬かったり、背中や肩、股関節の可動域が狭くなったり。
なので、「顔をつける=腕や脚の可動域を楽に使うためのもの」と思ってレッスンに臨んでもらうだけでも、レッスンの質は上がってきます。ぜひ試してみてください。
まとめ
今回の話をまとめると、
股関節の硬さに左右差があるのは…
左右の筋力の差、ストレッチしてる量の差以外にも、「顔がつけられない」など、首が原因で股関節が空回りをしてしまうことがある(股関節は緩いんだけど、動き出すと固くなってしまう)
対策は…
先に顔をつけてから股関節を動かすようにする。(手足の連動と胴体をつなげて動かすいうところを取り戻してあげてからの方がストレッチ)
胸の高さより上を首として使うことで、連動をスムーズにつなげやすい
ぜひ、明日からのレッスンに活かしてもらえば嬉しいです^^
PS.「顔をつける」ことで連動をスムーズにする仕組みは、肩を下げるなど、他の部分でも応用できます。