こんにちは。島田です。
「バレエで肩を下げるにはどうしたらいいですか?」
これは、当院に施術を受けにくる人はもちろん、私と同じ治療家でバレリーナの動きに慣れていないという人からもよくよく聞かれます。もしかしたらあなたも同じ悩みを持ってるかもしれませんね。
今回は、肩が下がらない原因についてお話します。
目次
理由1:肩を下げる位置がズレてる
■肩下げで下げる位置
肩を下げようとするとき、肩関節(下図の●)から下げたくなりませんか?。
実は、肩を下げるというのはこの部分を下げることではありません。
『肩そのものを下げようとすると、頑張るほど肩が上がる』という困ったことになります。
実際に『肩を下げる場所は肩甲骨の内側(下図の●)』です。
肩を引き下げる=肩甲帯(肩甲骨周り)の背骨よりを下げる
イメージでいうと、腕は上げても、首と背中は背骨に沿って引き下げる感じです。
このときメインで使う筋肉は…
■肩下げで使う3大筋肉
肩を下げるときに使う筋肉は、腕が上がる位置によってメインが変わります。
特に、アンオーまで挙げようと思うと、この3つの筋肉を使います。
①前鋸筋(ぜんきょきん)
肩甲骨から脇(肋骨)にいく筋肉。
②僧帽筋(そうぼうきん)の下側
僧帽筋のなかでも、背中の真ん中あたりと肩甲骨をつなぐ部分。
③反対側の脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
姿勢をキープするために体を支える背中の筋肉。
しかも挙げる手とは反対側です。
ここは、ノーマークなことが多く、肩を下げようとして反り腰になるケースもあります。
『この部分が肩下げに関係ある』と気づくだけでもアンオーが楽です。
これらの筋肉を使うことで、肩が上がりにくくなって肩下げしやすくなります。
理由2:肩が硬い
2つ目の理由は、肩が固いことです。
肩が硬いと、肩周りの筋肉が硬くて肩甲骨が引っかかるので肩が上がる原因になります。
具体的には、次の3つが関係します。
■肩甲骨につながる筋肉のアンバランス
特に、前鋸筋と菱形筋のアンバランスが大きく影響します。
前鋸筋って?
肩甲骨と肋骨にはさまれている筋肉です。目立たなくてサブなイメージですが、腕を上に挙げて使いたい時は、ほぼ主役級の働きをします。
↓
肩関節を動かすスペースができる
↓
腕が前・横・上に動かしやすい
菱形筋って?
肩甲骨と背骨をつなぐ筋肉です。これは肩こりの原因となる筋肉でもあるので、なじみ深い人も多いんじゃないかと思います。
前鋸筋と逆の動きをして、腕を後ろに動かしやすくしてくれます。
この2つの筋肉は、肩甲骨をサンドイッチする形で挟んでいます。バランスとれていると、肩甲骨の位置が正しい所にきます。バランスが悪いと、肩甲骨が引っかかって腕を自由に使える分が減ります。
肩甲骨が引っかかった状態で腕を使うと、いきたいポジションに腕をもっていけないので、肩(僧帽筋)がこわばって持ち上がります。それで肩が上がっちゃうんですね。
この筋肉のアンバランス、別の問題も引き起こします。それが…
■肩こりで腕が重い
この菱形筋と前鋸筋のアンバランスで肩甲骨周りに余計な負担がかかると、肩こりを起こしやすくなります。あなたも背中のこのあたりが疲れたり、コッたりした経験があるかもしれません。
肩甲骨周りが疲れてくると、腕の骨の重さを支えるのが大変になって腕が重くなります。
すると、腕の重さにつられて肩甲骨の位置がキープしづらくなります。
その結果、肩が上がる原因になっちゃうんですね。
そして、肩甲骨の位置がキープできずに、腕が重くなるのがプラスされると、腕の重さに肩甲骨が引っ張られて次の問題が起こります。
■肩の骨が出っ張る(前肩)
腕の重さに引っ張られて肩甲骨が前にくると、腕が自由に使える範囲が減ります(肩の可動域が下がる)。
腕がもともと動かせる範囲を『肩甲骨が代わりに動いてカバー』することに。
なので、
・首が短くなる
・鎖骨が水平にできない
・肩甲骨が持ち上がる(肩が上がる)
ようになるんですね。
このように、肩が硬いことで起こる
・肩甲骨周りの筋肉のアンバランス
・肩こりで腕が重い
・肩の骨が出っ張る(前肩になる)
は、どれも、肩が上がる・肩下げできない原因になります。
でも、これはまだ肩甲骨周りで起こることなので、イメージしやすいですよね。
理由3:肩以外の部分で問題がある
腕は、上半身がきちんと支えられていないと自由に動かせません。
極端な例ですが、腕で体を支える姿勢(腕立てなど)では腕は動かせんませんよね。
なので、上半身がグラついたり、体幹が弱くなることでも肩が上がる原因になるんです。
色々ありますが、普段バレエをしていて気になる部分でいうと…
■骨盤が立たない・股関節が硬い
股関節が硬かったり、骨盤が立たない状態だと、骨盤の上に乗る体幹が不安定になります。
余計な負担で上半身が疲れやすくなったり、体幹(腹筋や背筋など)が弱くなりがちです。
体幹が弱いと猫背になりやすくなります。
この状態だと肩甲骨がきちんと動かせないので、肩が上がりやすくなります。
また、体幹を支える筋肉の脊柱起立筋は、アンオーで肩を下げる(肩が上がらないようにする)ときに使う筋肉なので、体幹が弱いと肩が下げにくくなるんですね。
■あばらが開く
バレエを踊っていて、『肋骨(あばら)が開いてる』とアドバイスされたことありませんか?
実は、これも肩が上がる原因になるんです。
肋骨は、肩甲骨につながっています。
肋骨が開いた状態だと、肩甲骨も外へ上へ上がりやすくなります。
その結果、肩が引っかかって腕が持ち上げにくいので、肩が上がりやすいんですね。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか?
一言で、『肩が上がる・肩下げできない』といっても、
①使う位置がズレていたり(肩下げで下げるのは肩甲骨の内側)、
②その筋肉(肩甲骨周りの筋肉)が固まっていたり、
③別のところ(骨盤、股関節、あばら など)に問題があったり…
と大きく3つに分けられます。
まずは、「私はどのパターンかな〜」とチェックしてみてください^^
P.S.
効率よくいくなら、①の下げる位置の確認から直すのがオススメです。