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股関節の硬さに左右差が出る意外な原因とセルフ整体

こんにちは、島田です。

今回は、『股関節の硬さに左右差が出る意外な原因と、その整え方』についてお話しします。

股関節が片方だけ硬くて、足がスムーズに動かない…どうにかしたい!」
開脚すると左右の開きが違って、見た目も気になる…」
片足でバランスを取るのが難しくて、ポーズが決まらない…」

股関節に左右差があると、日常の動きやスポーツでのパフォーマンスが低下するだけでなく、放置すると腰や膝への負担が増える恐れがあります。これは股関節だけでなく、体幹や骨盤のアンバランスが影響していることが多いんですね。

この記事では、股関節の硬さに左右差が出る意外な原因である「肋骨(あばら)の開き具合」に着目し、その整え方を解説します。具体的には、体幹を整えて股関節の動きをスムーズにする2つのセルフ整体方法をご紹介します。

この記事を読むことで、股関節の左右差の原因と改善方法を理解できます。実践することで柔軟性が向上し、動きが軽やかになり、バランスやポーズが取りやすくなります。特にスポーツやダンスをする方にはお勧めです。

では早速本編にいきましょう。

股関節の硬さに左右差があると…

先日お会いした方から、こんなご相談をいただきました。

股関節の左右差があって、動きがぎこちなくなっちゃうんですよね…。

具体的には…、

・足を上げたり外側に開く時に左の股関節が引っかかる
・開脚で足を開くと左右で開きに差がある
・右足を軸足にしてバランスを取るとポーズが不安定になる(ターンなどの回転もやりづらい)

といった状態でした。

「似たような経験あるよ」という方もいるかもしれません。

これって股関節周りの組織が硬かったり、癒着して動いてるからなんじゃないの?」って思うかもしれませんが、実はその前の段階で制限を起こすパーツがあるんですね。

それを整えておくと、股関節もスムーズに動きやすくなります。

そこで今回は、股関節の左右差を整えるために、次の2点について解説します。

1)股関節の左右差を起こす意外な原因
2)股関節の左右差をとるセルフ整体


この2点ですね。

股関節の左右差を感じる方はもちろん、片足での動きをスムーズにしたい方にも役立つ内容です。

股関節の硬さに左右差が起こる意外な原因

ではまず、股関節の硬さに左右差が起こる意外な原因からお話します。

実は「この部分に左右差があると、股関節の硬さにも左右差が出やすい」という場所があります。

それが『肋骨(ろっこつ)の開き具合』です。

例えば、みぞおち(胸の中心部)から左右に肋骨をたどってみると、片側が突き出ていたり傾いていることがあります。このような左右差があると、股関節の動きにも影響を与えやすいんですね。

肋骨の開き具合に左右差があると、体の「ねじりやすさ」にも左右差が生じます。

例えば、左側の股関節が硬い場合、体幹(おへその高さ)が右にねじれにくくなることがあります。反対に、右側の股関節が硬い場合は左にねじれにくくなります。

バレエのレッスンで「あばらが開いてる(あばらを閉じて)」と指導されることがありますが、これはあばらの開きを抑えて閉じることで股関節がスムーズに動くようになるからです。

なぜ肋骨(あばら)の開き具合が股関節の硬さに影響するのか?

でも、この話を聞いて「なんであばらの開きが股関節の硬さに影響するの?」って思う方もいますよね^^;

順番にお話していきます。


まず、肋骨(あばら)が開くと、体をねじる動作がしづらくなります
試しに、みぞおちの下あたりの肋骨を軽く外側に開いた状態で体をねじってみると、お腹(みぞおち、おへそ)が横に向けづらいはずです。

逆に、肋骨を閉じた状態で体をねじると、体がねじりやすいのがわかると思います。

これは、肋骨が開いていると、体幹をねじるための筋肉(腹斜筋、脊柱起立筋群、多裂筋など)が使いづらくなるからです。そのせいで、背骨の胸椎部分の動きも硬くなります。

また、体幹をねじるための筋肉は骨盤にくっついているので、これらがうまく使えないと、骨盤の位置をコントロールするのが難しくなります

つまり、あばらが開いてると、骨盤もズレやすくなっちゃうんですね。


なので、股関節を動かそうとしても、代わりに骨盤を動かす(お尻を振る)ようになってしまいます

このような代償運動(動かしたい所の代わりに他のパーツが動いちゃうこと)が起きると、股関節の動きが悪くなるので、硬さに左右差が出てくるんですね。

その結果、冒頭のような症状につながってくるというわけです。

バレエ教室でよく受ける注意の意味

それもあって、バレエ教室では、先ほどもお話した「肋骨を開かないように」や「骨盤がズレているから、お尻を振らずに股関節を動かしてください」というアドバイスがよくされます。

これは、注意してる場所そのものに対する話だけじゃなくて…

「動かしたい所(股関節)の代わりに、他の部分が動いてる(例えば肋骨が開いてしまったり、お尻を動かしてしまったり…)から、それに気づいて修正してね」

っていう意図があります。

でも、ここまでの話を聞いてこう思った方もいるかもしれません

「肋骨を閉じたり、骨盤がズレないように意識することで、股関節がスムーズに動きやすくなったり、左右差も減るというのは何となく理解できたけど…

・肋骨が開いてしまって、自分ではなかなか修正できない…。
・歪みを意識して直すのが難しい…。

みたいな場合はどうしたらいいの?」

そこで、ここからは股関節の左右差を減らすポイントとその整え方についてお話していきます。

股関節の左右差を減らすポイント

股関節の硬さの左右差を整える原則として押さえておきたいのは 「足をクロスして体をねじる」 ことです。

①足をクロスする例

・あぐらをかく
・バレエをされてる方は5番ポジション(片足のかかとをもう片足のつま先に合わせて立つ)

などがお勧めです。

「私、バレエ未経験だよ」という方や、5番ポジションが難しい場合は、足を前後に開いて立つのでも構いません。

あぐらがお勧めな理由

あぐらをするのは、骨盤を立てるためです。

あぐらを組んだ時に、上になってる足と下になってる足の位置関係を保ったまま脚を伸ばすと、5番ポジションの位置関係(あぐらで上にくる足が5番の前足、下にくる足が5番の後ろ足)になります(※)。

あぐらや5番が難しい場合は

もし、あぐらや5番ポジションが難しい場合は、無理をせず椅子に座って足を組む方法から始めてみてください。

②足をクロスした状態で体をねじる


足を組んだ状態で、体をねじります。

ねじる方向は
・あぐらor足組んで座ってる→上に乗ってる足の側
・5番ポジション→前にある足側
です。

こうすることで、骨盤のズレを抑えながら体のねじりであばらを締めるようになるので、体幹が安定して股関節の動きがスムーズになります。

そこで、ここからはこの仕組みを使ったセルフ整体を2つ紹介します。

股関節の左右差をとるセルフ整体①あばらを締めて骨盤を立てる(基礎編)


では、股関節の左右差をとるために『あばらを締めて骨盤を立てる』やり方についてお話します。

この方法は、肩甲骨と骨盤を連動させた状態で体をねじることで、骨盤がズレて股関節が引っかかるのを抑えていきます。

・股関節の硬さに左右差がある
・猫背で呼吸が浅い

バレエをされてる方なら
・5番ポジションに入りにくい

というタイプ向けです。

では、具体的なやり方についてお話しします。

ステップ1:あぐらで座り、指を下に向けて反らす


床にあぐらで座ります。

あぐらが難しい場合は、ヨガブロックやクッションを使って、骨盤を高い位置に保つことで膝が上がらず座りやすくなります。

あぐらをしたら、指を下に向けて反らして、腕を前に伸ばします。

この時、手首〜肘の内側が伸びるようにします。
これは背すじを伸ばすためです。

肘の内側を伸ばす理由は過去記事「猫背の矯正に使えるストレッチ」でお話してますので、詳しくはそちらをご参照ください(※)。

ステップ2:体ごとねじって足が上にある側の太ももへ腕を伸ばす


続いて、そこから体ごとねじって、足が上にある側の太ももへ、腕をひっかけるように伸ばします。互い違いの腕と脚をクロスしてる感じです。

そうすることで、骨盤がズレないようにロックをかけます。

ステップ3:肘から手首(小指側)に向かってこする+みぞおちを横に向ける


次に、肘から手首の小指側に向かって速いスピードでこすります。
擦るスピードは、1秒間に2回から3回以上が目安です。
だいたい5秒〜10秒こすります。

そうすると肩甲骨の動きが良くなって体がねじりやすくなってくるので、肘から手首に向かってこすり続けなら、みぞおちを横に向けていきます。

こうすることで、あばらが締まり骨盤がズレなくなるので股関節の左右差を整えていけます。

ココまで来たらステップ1に戻って、3セット繰り返します。

片側終わったら反対側も同じように行います。

股関節の左右差をとるセルフ整体②体のねじりを活かして脚をまっすぐに整える矯正


続いて、体のねじりを活かして脚をまっすぐに整える矯正についてお話します。

この方法も、肩甲骨と骨盤を連動させた状態で体をねじるんですが、太ももがまっすぐのまま中心に寄せやすくすることで股関節の左右差を減らします。

先ほどのやり方だと「あぐらすると、膝や足首がつらい」という方や

・外反母趾がある、足の親指が痛い
・O脚傾向、気をつけて足をピタッとつけにくい
・巻き肩や猫背がある
タイプ向けです(※)。

では、具体的なやり方について、順番に解説していきます。

ステップ1:互い違いの腕と脚をクロスして脚を寄せやすくする


イスに座って、太ももを乗せるように足を組みます。

足を組んだら、上に乗せた脚とは反対側の腕を伸ばして太ももに乗せます。互い違いの腕と脚をクロスしてる感じです。

そうすることで、腕側の上半身と上に乗せた側の脚を体の中心に寄るので、気をつけなどで脚をまっすぐのまま寄せやすくなります。

ステップ2:腕の上げ下げ+体のねじりで胸を開く


次に、もう片方の手を上に伸ばします。

そこから、手が上に伸ばした側に体を振り返ります。みぞおちや胸の高さから後ろに振り返るようにすると、上半身のねじりが活かされて効果的です。

そして、振り返ったら手を下まで下ろして、元の位置まで戻ります。

これを3回振り返します。

腕を大きく回しているわけではないので、肩回しにならないように注意してください。

ここまでの流れで、上半身のねじる動き(胸椎の回旋)をインプットします。

ステップ3:ステップ2を顔を正面に向けたまま行う

そして、今までの流れを『顔を正面に向けたまま』行っていきます。

手を上に伸ばして、顔を前に向けたまま上半身だけで振り返ります。

上半身をねじったら、手を下ろして元の位置まで戻ります。
これを3回繰り返していきます。

顔を正面に向けたまま行うことで、体幹をねじる効果が上がります。

反対側も同じように行っていきます。

できてるかどうかチェックするなら…

「これで合ってるかな?」って確認したい時は、この2つのセルフ整体をやった後でやる前よりも

・深くしゃがみやすくなるか
・気をつけした時に脚を寄せやすくなるか
・つま先立ちで足の負担が減ってるか
・バレエされてる方なら、5番ポジションや脚を後ろに上げるのが楽になってるか
などをチェックしてみてください。

この2つの組み合わせがきちんとできてると、やる前よりもスムーズになってるはずです。

ココまでのまとめ


ではここまでの話をまとめます。
「股関節の左右差をセルフで整える」ということで、

今回は次の2点について解説をしてきました。

1)股関節の左右差を起こす意外な原因
2)股関節の左右差をとるセルフ整体

あばらの開き具合が左右で違うと、体幹が弱くなるので骨盤が股関節の代わりに動いてしまい股関節に詰まりや引っかかりを感じることがあります。

そこで、これらの問題を解消するためにセルフで整えるやり方についてもお話しました。

股関節の左右差をとって、柔軟性をUPする助けになれば嬉しいです。

ちなみに、体の内側を動かして柔軟性をUPするやり方はバレエ体幹ハンドブックのP54~69で解説しています。本をお持ちの方はそちらもご参照ください。


今回お話した方法のノーカット版を含めた完全版では

・ゴムチューブを使って肩甲骨、骨盤、背骨を同時に整えることで股関節の左右差や引っ掛かりをとる方法


・あばらを締めて骨盤を立てる方法のフルバージョン(足の付け根がつらい、開脚が苦手、5番に入りづらい、パッセで足が上げづらい人向け)


・鎖骨を開く5番矯正(巻き肩、O脚、母趾の痛み、足を後ろに上げづらい人向けアプローチ)

 

なども収録をしています。

続きが気になる方は、

▶︎専心良治・ラボ
でご覧いただけますので、ぜひチェックして続きをご覧ください。

以上参考になれば嬉しいです。