こんにちは。島田です。
大人でバレエをされてる方は仕事終わってからバレエ教室に行かれることが多いと思います。
なので、ずっと座って仕事をしてからだと、例えば「何か今日膝が痛いな」とか「腰からお尻が慢性的に痛いな」って状態でレッスンをスタートするなんてこともあるかもしれません。
そこで今回は、【デスクワークで、膝・腰・足の付け根の痛みの原因になるクセ】ということで、『長く座った後体のあちこちが痛くなるその原因とそれを防ぐための2つの対策』についてお話をしていきます。
目次
座りすぎると腰、膝、足の付け根の痛みが起こる
例えば、テレビを見てたり、仕事をしたり、とか色々あると思いますが、長く座った後に立つと、この図のようなところがつらくなる事ってないでしょうか?
・足の付け根
・膝の前側
・腰の根元~お尻のあたり
が痛くなるなんてことがあるかもしれません。
これらは別々に起きてるわけではなくて、とある共通点があります。
その1つが浮き指です。
原因の1つは『浮き指』
浮き指(うきゆび)ってどういう状態かと言うと、『足を全部つけることができずにかかと重心になってしまうこと』です。
これの何が問題かと言うと、この浮き指の状態で長く座ると、足裏をつけて座るのがしんどいので、だんだん踵(かかと)が浮いて、つま先立ちのような座り方になってしまうんですね。
浮き指でデスクワークを続けてると…
膝を常に持ち上げた状態になるので、『座って仕事をしている間、足上げの筋トレをしてるのと同じような感じ』になるんですね。
そうすると、身体と脚をつなぐ股関節周りや前もも、そして腰の筋肉に負担がきます。
例えば、骨盤と肋骨をつなぐような筋肉(腰方形筋・ようほうけいきん)や、腰から股関節までつながるような奥の方の筋肉(腸腰筋・ちょうようきん)、前ももの筋肉(大腿四頭筋・だいたいしとうきん)も緊張して縮んでしまいます。
この前ももの筋肉の腱は、足の付け根と膝につくので、その部分の負担がかかって痛くなるんですね。このタイプの膝痛の特徴は、膝の外やお皿の上が痛くなることです。(内側とかそんなに痛くないことが多いです)
股関節も内旋する
さらに、股関節は体重がかかると、(太ももが)内側にねじれる性質を持っています。
このとき、本来なら股関節を外に開く筋肉(バレエだとターンアウトで使うような筋肉)が、それに対抗して股関節を開いて床を押すことによって脚をニュートラル(まっすぐ)の状態でキープしてます。
でも、浮き指の場合、うまく体重をかけて押すことができないので、股関節は内側に入りやすくなって、太ももがちょっと内旋(ないせん)した状態になるんですね。
骨盤がズレて腰~お尻が痛くなる
このままだと片方の足は床を押せない状態になるので、骨盤がそのぶん持ち上がってズレます。(筋肉の引っ張り合いのバランスが崩れて上に引っ張られるので)
この図の赤い部分、仙腸関節(せんちょうかんせつ)の周りやお尻の上の方の腰の根元あたりの筋肉が硬くなってくるんですね。
これが続くことによって、慢性的な腰痛も出たりします。
つまり、
ここまでの話をまとめると、浮き指で床がちゃんと押せない状態のまま長く座っていると、足が持ち上がった状態のまま頑張ることになるので
・前腿の筋肉が縮んで、膝や足の付け根が痛くなる
・骨盤が上に持ち上がって、筋肉に引っ張られてズレる
・お尻の付け根から腰の根元あたりが痛くなる
ということがあるんですね。
改善のポイントは上半身
「じゃ、何をすればラクになるの?」と思いますよね?
床が押せないことが原因で起きてるので床を押せればいいのですが、これ膝から下で頑張って床を押そうとしてもうまくいきません。
ポイントは上半身です。
上半身が不安定なままだと、上手く床を押すことができません。
バレエ教室では、肩と股関節をつないだ上半身の四角形(スクエア)を崩さないようにアドバイスされますが、それは、この床を押しやすくすることとも関係します。
この上半身が不安定なまま、いくら頑張って踏ん張っても前腿が疲れるだけでうまく力が伝わりません。
上半身で問題になる2つのポイント
上半身で問題になるのは2つあります。
①首・肩の問題
②肋骨・背中の問題
①首・肩の問題
1つは、首肩の問題です。
例えば、アゴが上がってしまったり、猫背、、ストレートネック、前肩(肩甲骨が、肩の前の方に覆いかぶさってくるような状態)ですね。
この状態だと、力がうまく伝わらないので、足の負担が増えます。特に、『足の指が曲がりやすいタイプ』がこれに当たります。
②肋骨・背中の問題
もう1つは、肋骨と背中の問題です。
例えば、呼吸が浅かったり、腸腰筋などのインナーマッスルが弱くてお腹が出たり、反り腰や出っ尻などの状態ですね。
この場合も、同じように床が押しづらいです。特に、『膝が曲がりやすい・足首が硬い・甲が伸びないタイプ』がこれに当たります。
すぐにできる2つの対策
なので、首肩や肋骨などを先に整えると、床が押しやすくなって症状にアプローチすることができます。ということで、今回はすぐにできる対策を2つ用意しました。
対策1)体の横を伸ばす
対策2)床を押すサポートツールを使う
対策1)体の横を伸ばす
まず1つ目は、『体の横を伸ばす運動・ストレッチ』ですね。
これはラジオ体操のように、横に体を倒す側屈(そっくつ)って言われるような運動でもいいです。
バレエだと、体を横に倒すカンブレという動きがあります。それを利用して、体の横の部分(サイドライン)を伸ばすことができるので、先ほどのその背中と肋骨の問題に効きます。
また、脇が伸ばされると、肩甲骨の位置も整って首の負担も減るので、首肩の問題もアプローチできるんですね。
このときのポイントは、
・『お尻があまり横にズレない』こと
・伸ばす時に腕の付け根や腰を伸ばすのではなく、『肋骨の間を意識して伸ばす』こと
そうすることによって、肋骨が支えになって腰の筋肉の負担も減らしてくれます。
さらに効果を上げたい場合は、①体を横に伸ばした状態で、②息を吐ききってから③吸うことによって肋間の筋肉も使ってストレッチできます。
対策2)床を押すサポートツールを使う
対策の2つ目は、床を押すサポートツールを使うということです。
最初の方で、浮き指になってしまって床をうまく押せないせいで、いろんな問題が出てくるお話をしました。
なので、かかとが浮いてしまうようなところに、クッションか、フットレストなど足の置ける物を置いてあげるんですね。
そして、そこを踏むようにするだけでも、床が押しやすくなってラクになります。
これは物を置いて踏みやすくするだけなので、すぐできますよね?職場環境がよっぽど厳しくなければ、生産性アップのためにも床の下に物を置く程度は大丈夫だと思うので、いけけそうだったら置いてみてください。
どうしても「足元に物を置くのが難しい」って場合は、対策の1つ目『体の横を伸ばすストレッチ』をやっていただくだけでもOKです。
ちなみに、順番的には
【1】体の横を伸ばす
【2】床を押す練習
の方が効果的です。上半身が安定して床を押しやすい状態でスタートできるので。
バレエのレッスンを活かすならこの4つの動き
そしてバレエのレッスンで治していくなら、次の4つの動きが効果的です。
もも裏、膝裏を伸ばす
・プリエ(特に立ち上がるとき)
・後ろのタンデュ
肋骨、背中のストレッチ
・(横に倒す)カンブレ
股関節を開いて床を押しやすくする
・(骨盤を平行に保ったまま)パッセ
パッセは、きちんと軸足を擦りながら脚を上げていくことで股関節を開くことができます。
まとめ
ここまでの話をまとめると…
デスクワークで膝や付け根腰が痛くなる原因の1つは『浮き指で床が押せない』こと
対策は上半身へのアプローチ
対策1)体の横を伸ばす
対策2)フットレストなど、床を押すサポートツールを使う
バレエのレッスンで治すなら
・プリエの立ち上がり
・後ろのタンデュ
・横に倒すカンブレ
・骨盤を平行に保ったパッセ
ぜひ、デスクワークのダメージを最小限にして、楽しくレッスンを続けられるように予防してあげてください。
PS.ちなみに、パッセを使って股関節を開けると、床を押しやすくすることができます。