こんにちは。島田です。
バレエを踊っていて「股関節が硬い…」って思ったことありませんか?
あるいは、教室で注意をされてる人を見たことがあるかもしれません。
でも、そもそも「股関節が硬い」って、どんな状態なんでしょうか?
原因とレッスンでできる対策をまとめたのでどうぞ^^
目次
【1】「股関節が硬い」とは?
バレエをしていて「股関節が硬い」という場合、
・骨盤から足の付け根にかけて動かしづらい
・足の動かせる範囲が自分の理想より狭い
ことを言います。
どんなときに「股関節が硬い」と感じるのか?
例えば、
足を上げようとするとき、
アラベスクするとき、
開脚で足を開くとき、
などなど、普段踊っていいて足を使う時が多いです。
この時に、なんとなく足の付け根がきつかったり、動かしにくいと感じていたら『股関節が硬い』のかもしれません。
【2】股関節が硬いと何が問題?
では、股関節が硬いと、何が問題なんでしょうか?
いろいろありますが、大きく次の5つに分けられます。
(1)柔軟性が落ちる
(2)ターンアウトしづらい
(3)足が上がりにくい
(4)膝が伸びない
(5)足の付け根が痛くなりやすい
1つずつみていきましょう。
(1)柔軟性が落ちる
後でお話しますが、股関節は踊る時に足を使う以外にも、体を支える仕事もしています。
股関節が硬いと、体を支えるのに余計な力が入ります。
すると、体を守るために筋肉が緊張するので、動きが縮こまってなかなか伸びません。
(2)ターンアウトしづらい
ターンアウトは、股関節から脚(付け根から足先)を一本で外に開く動きです。
その根元にある股関節の動きが硬ければ、もちろんターンアウトもしづらいです^^;
(3)足が上がりにくい
股関節が硬いと、足を上げるときに本来使いたい筋肉を使えません。
大きい筋肉や、前ももの筋肉を余分に使うことになります。
そのせいで、後でお話する通り足の付け根を痛める原因になることも。
(4)膝が伸びない
プリエやジャンプで踏み切る時は、股関節を使います。
股関節の動きが硬いと、ハムストリングスも伸びにくく、ひざ裏が伸びません。
軸足の膝(ひざ)が曲がってしまうのは、ここが原因です。
(5)足の付け根が痛くなりやすい
動かない股関節で、足を無理に上げようとすると、変なところに力が入ります。
その結果、一部の筋肉だけに負担がかかって、足の付け根を痛める原因になります。
【3】股関節が硬い原因は?
「では、股関節が硬くなってしまう原因はどんなものがあるの?」って気になりますよね?
原因は種類別に、4つあります。
(1)股関節のはまってる角度が悪い
(2)股関節周りの靭帯が硬い
(3)股関節周りの筋肉が硬い
(4)股関節の使い方がズレている
それぞれ掘り下げていくと…
(1)股関節のはまってる角度が悪い
いくら股関節が硬いといっても、『直接的に股関節が固まる』なんてことはありません。
でも、「骨格に問題があるんじゃないか」と心配する人もいるかもしれません。 股関節の骨格的な問題による影響は、股関節のはまる角度によって違います。( ターンアウトは骨格の影響を受ける?2つの目印 )
変形性股関節症など、レントゲンで変形が見られる場合は、その影響もあります。
(2)股関節周りの靭帯が硬い
股関節は、太ももの骨の先(大腿骨頭・だいたいこっとう)が骨盤に、カポッと、はまり込んでできています。
股関節の可動域は、靭帯である程度制限されています。
理由は、動きすぎると、脚が体を支えられないからです。
安定性を上げるために、靭帯で保護しているんですね。
股関節の周りにある靭帯には4つの種類があります。
①腸骨大腿靭帯(ちょうこつだいたいじんたい)
足を後ろに上げる動きをコントロールしています。(股関節の伸展制御)
人体最強の靭帯と呼ばれています。
②坐骨大腿靭帯(ざこつだいたいじんたい)
③恥骨大腿靭帯(ちこつだいたいじんたい)
④大腿骨頭靭帯(だいたいこっとうじんたい)
それぞれ、骨と骨をつないで股関節を安定させています。
なので、これらの靭帯が伸びにくいと股関節の動きも制限されます。
また、直接は関係ないんですが、バレエを踊っていて『外側の筋肉を使いすぎる』と硬くなる靭帯があります。
それが、腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)です。
この靭帯は、骨盤から太ももの横を通って膝の外側までつながります。
膝関節を安定させている靭帯です。
大殿筋と大腿筋膜張筋の停止腱が、腸脛靭帯にくっつくので、これらを使いすぎると硬くなります。
この靭帯が、硬くなっているサインは…
・足の付け根(前から外)が痛い
・太ももの外が硬くなる
・膝の外側や、すねの外側が痛い
(3)股関節周りの筋肉が硬い
股関節を動かす方向は、全部で6種類あります。
それぞれの動きで
・使われる筋肉が硬かったり、
・一部だけ頑張ってバランスが悪かったりすると、
その分、動かしにくいので『股関節が硬く』なります。
参考までに、股関節の動きで使う筋肉をまとめておきました。
それぞれの筋肉は、『その動きに使われる順』に並んでいます。
屈曲(脚を前に上げる動き)
腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)、大腿直筋、大腿筋膜張筋、恥骨筋、長内転筋
伸展(脚を後ろに上げる働き)
大殿筋、大腿二頭筋(長頭)、大内転筋、半膜様筋、半腱様筋、中殿筋(後部)、梨状筋
外転(脚を横に上げる動き)
中殿筋、大殿筋(上部)、大腿筋膜張筋、小殿筋
内転(脚を内側に寄せる動き)
大内転筋、大殿筋(下部)、長内転筋、短内転筋、薄筋、恥骨筋
外旋(股関節を外回しする動き)
大殿筋、大腿方形筋、内閉鎖筋、中殿筋(後部)、小殿筋(後部)、腸腰筋、外閉鎖筋、梨状筋
内旋(股関節を内回しする動き)
中殿筋(前部)、小殿筋(前部)、大内転筋、恥骨筋、長内転筋、大腿筋膜張筋
なかには、名前を知っている筋肉もあるかもしれません。
動きが 重なるものもありますが、20種類くらいあります。
「〇〇筋を使って!」だけだと、うまく動かせないことがあります。
その理由は、これだけの筋肉を同時にコントロールしながら使う動きなのに、1つの筋肉に頼ろうとしてしまうからです。
筋トレならOKですけどね^^;動きのなかで1つの筋肉に意識を集中するのは、股関節が硬い状態になりやすいです。
(4)股関節の使い方がズレている
股関節だと思って使ってる所が、ズレていることもあります(バレエで股関節が硬い意外な理由)。
また、(3)でお話した通り、1つの筋肉に意識を集中させる使い方も、股関節を硬くします。
そして、それ以上に、バレエを踊るとき、股関節の使い方がズレてしまう大きな原因があります。
それは、体幹や上半身が不安定だということです。
いわゆる、肩が上がったり、あばらが開く(お腹が出た)状態や、骨盤が立たないまま、股関節を一生懸命使おうとしても、股関節は硬いままです。
理由は、股関節が動きではなく、体を支えるために使われてしまうから。
そもそも体が支えきれていない状態では、関節を守るために、股関節周りの靭帯や筋肉がギュッと硬くなります。
その状態で、いくら股関節を柔らかくしようと思っても、硬いままです。
【4】バレエで股関節の硬さをとる2つのポイント
「じゃぁ、バレエで股関節の硬さをとっていくにはどうすればいいの?」 と思いますよね。
バレエのレッスンは、この硬さをとるための構成がされています。
なので、レッスンの動きをきちんと行うことで、だんだん硬さはとれていきます。
といっても、フロア・センターでの動きで、これらを意識するのは難しいですよね^^;
なので、『バーレッスンで体を作る』のがお勧めです。
これも動きはたくさんあるので、ポイントだけ押さえたいと思います。
具体的には、以下の2つのポイントを意識できると、股関節が動かしやすくなります。
①バーから、指の付け根をなるべく離さない
②足を動かすときは、床を、思ったよりも強めに擦る
この2つのポイントは、 先ほどお話した、股関節が硬くなる原因に対して、『最小限の意識で最大の効果』につながるために絞り絞ったものです。
①は、肘、肩甲骨から、体幹(あばら、首、背中、骨盤)までを安定させるためのものです。
握るのとは違います。
握ると肘が落ちて肩甲骨が上がります(肩が上がる)。
かといって、手がバーから離れると、体を支える部分が脚に切り替わるので、股関節が硬くなります。
大事なのは、指の付け根か手首の付け根が、バーから離れないこと(吸い付いた感じと表現されることも)です。
こうすることで、腕から体幹に必要な力が伝わって体を支えてくれるので、股関節を動かしやすくなります。
②は、ターンアウトをキープするための筋肉を使い続けるためのものです。
なぜ、タンデュで床を擦るのか?
なぜ、足を伸ばした後に床を押すのか?
なぜ、パッセは軸足を通るのか?
なぜ、ロンデ・ジャンブするときは、1番を通るのか?
これらは、すべてターンアウトをキープするための筋を使い続けるための動作だからです。
なので、床をするのが弱かったり、足を伸ばすときに、かかとや足が床から浮きやすいなと思ったら、『強く擦る』だけでも股関節の硬さをとるのに役立ちます。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか?
普段、何気なく「股関節が硬い」って思ってたけど、
なぜ硬いのか?
硬いと何が問題なのか?
どこからやればいいか?
…と、迷子になっていたかもしれません。
こうやって整理してみると、自分がどんな状態か見えやすくなったのはないでしょうか?
知ったからといって、いきなりすぐには、柔らかくなりません。
でも、レッスンでやりがちなNGが見えたり、先生から受けたアドバイスで股関節に関係なさそうなことも「実は股関節とつながってるかも」と気づいて、レッスンの質を上げてもらえたら嬉しいです。