こんにちは。島田です。
今回は『股関節の硬さをとる意外なポイントとそのストレッチ』についてお話します。
股関節が硬いせいで、開脚が開かなかったり、頑張って開こうとすると
・もも裏が張ってひざが曲がってきたり
・足の付け根やソ径部がつまったり痛みがでたり
した経験ないでしょうか?
踊りでいうと、
・脚を横に向けるターンアウト
・片足立ちで膝を横に開くパッセ
・脚を後ろに上げるアラベスク
などのポーズががやりづらいなんてこともあるかもしれません。
「ストレッチはしてるんだけど、なかなかうまくいかない」ってケースでは、股関節の動きが制限されている状態でストレッチを頑張ってることが多いです。
そこで、この記事では股関節を動かしやすくするパーツとその整え方についてお話します。
目次
股関節の硬さをとる意外なポイント
バレエなどの踊りでは、体のあるパーツを持ち上げることで、股関節の柔軟性をアップしています。
教室では、「股関節のスペースをあける」とか「股関節のスキマをつくる」といった表現で注意されることがありますね。
一体どこを持ち上げているのか?それは…体幹です。
『引き上げ』といって、お腹・脇・背中などを伸ばしたり張ったりすることで、骨盤がズレないように安定させて股関節の動きが邪魔されないようにしているんですね。
これを聞いて
「これが股関節の硬さをとるのと、どう関係するの?」
って思った方もいるかもしれません。
そこで、『お腹をベターっとつける開脚(開脚前屈)』したときにどう関係するのかみていきましょう。
背骨には、股関節を動かす時の支点になるポイントがいくつかあります。
たとえば、
腰の下の方は、太ももを外側に回す(外旋)や、ひざを伸ばすときだったり、開脚して体を前に倒すときにお腹を床に近づけるのと関係します。
背中と腰の境目は、内ももの筋肉(内転筋)を使って脚を寄せたり、体をねじって股関節を開くのと関係します。
そして、肩甲骨の間らへんの高さは、腸腰筋を伸ばしたりソ径部の緊張をとるのと関係します。
なので、お腹をベターっとつける開脚で、
・お腹がつかない、ひざが曲がるなら→腰の下
が持ち上がるとやりやすいですし…
・内ももの張りが気になるなら→背中と腰の境目
・ソ径部がつらいなら→肩甲骨の間
それぞれ持ち上がるとやりやすくなります。
つまり、背中が持ち上がると股関節も動かしやすくなるんですね。
実際に、それぞれの高さの背骨を固定して上に持ち上げると、動かしやすさやつま先立ちしたときの軽さに違いが出るので試してみてください。
股関節の硬さをとる2つのアプローチとおすすめのやり方
ここまでの話を聞いて、
「背骨を持ち上げることで股関節がゆるむとしても、ずっと押さえてるわけにもいかないし、どうやってその部分を整えるの?」
って思った方もいるかもしれません。
そこで、ここからは、セルフでできる対策を2つ紹介します。
1つは、ひざの曲げ伸ばしで腰を伸ばす方法。
もう1つは、正座などひざを曲げた状態から上半身を反らして背中を伸ばす方法です。
どちらも股関節の硬さをとるのに使えるんですが、ゆるむ場所が違うので、セットで使うことでより硬さをとりやすくなります。
今回は開脚を例にとってやっていますが、このセットでストレッチされるところは他の動きにも応用できるんですね。
たとえば、
・ダンスのステップや足を上げやすくしたり
・ひざが伸びたまま1番のルルベしやすくしたり
・アラベスクで腰が詰まらないようにする
といったときにも使えます。
おすすめは、『やりたいポーズを前後に挟む』ことです。
ただストレッチだけをやるよりは、股関節の硬さが気になるポーズをストレッチの前後に挟むことで、柔軟性のアップと股関節を動かしやすくなったときのポーズの感覚をセットで確認しやすくなります。
「体が硬すぎてストレッチの体勢が見本通りうまくいかない」という方も、ポーズが最初よりもやりやすくなってれば、ストレッチもうまくいってるので安心してください。
では、セルフケアのやり方を順番にお話していきます。
股関節の硬さをとるセルフケア①ひざの曲げ伸ばしで腰を伸ばす
まず、ひざの曲げ伸ばしで腰を伸ばすやり方についてお話します。
この方法では、お腹と太ももをつけたまま膝を曲げ伸ばすことで、太ももを外側に回す(外旋)や、ひざを伸ばすときだったり、開脚して体を前に倒すときにお腹を床に近づけやすくするのが狙いです。
では、具体的なやり方を解説します。
床に座ったら、膝を曲げて太ももをお腹につけます。
太ももがお腹についたら、つま先か足首をもちます。
そこから、両方のかかとを前に伸ばします。かかとで床をこすりながらやると効果的です。
体幹と足が前に伸ばされるのにつられて、ひざが床に近づきます。
太ももとお腹が離れてくるタイミングか、太ももや膝裏の筋肉が緊張してきたら、そこで足を伸ばすのを止めて深呼吸を3回行います。
深呼吸をしたら、元の体勢に戻ります。
元に戻すときは、両足いっぺんだと難しいので、片足ずつ行います。
この流れを3セット〜5セット繰り返します。
この方法のポイントは、『お腹と太ももをつけたまま足を伸ばせる範囲を増やす』ということです。
・つま先や足首を固定する
・お腹と太ももをつける
この条件のまま、足を伸ばすことで、骨盤が持ち上がって腰の下が伸ばされます。
腰の下を伸ばすのが目的なので、膝が伸び切る必要はありません。
膝は床につかなくてもいいので、お腹と太ももがついたまま行ける範囲を少しずつふやしてください。
このストレッチを繰り返して、腰が伸びてくると、骨盤の位置が安定して膝をのばしたまま股関節を動かしやすくなります。
なので、
・股関節のストレッチをするときにもも裏の張りが減って膝が伸ばしやすくなる
・開脚して体を前に倒すときにお腹を床に近づけやすい
・太ももを外旋しやすくなる
といったメリットがでやすくなるんですね。
体勢がきつくてできないときは…
もし、もも裏があまりにも硬くて、「太ももとお腹をつけたまま足を前に伸ばすのが全然いかない…」という方は、過去動画『もも裏の硬さをとる意外なポイント』で紹介した筋膜リリースをしてから試してみてから再度チャレンジしてみてください。
体勢もスムーズにいきやすくなるはずです。
股関節の硬さをとるセルフケア②膝曲げで上半身を反らして背中を伸ばす
続いて、正座など膝を曲げた状態から上半身を反らして背中を伸ばすやり方についてお話します。
この方法では、正座(膝曲げ)した状態から上半身そらしていくことで、体の前面を伸ばします。開脚や股関節のストレッチをするときの内ももの張りやソ径部のつらさをとったり、脚を後ろに伸ばすポーズをやりやすくするのが狙いです。
伸ばせる範囲ごとにレベル1〜4まで段階に分かれていますので、体の硬さに合わせてやってみて調整してみてください。
では具体的なやり方を解説します。
床にクッションを敷いて正座をします。
正座をしたら、手を後ろにずらしながら上半身を後ろに反ります。
後ろにイスやソファなどの背もたれがあると、反っていったときの腰や首の負担が減るので安全です。
肘がつくくらいまで反れると、前もも〜足の付け根くらいまでストレッチされる感じがあるのでそこで深呼吸を3回します。
余裕がある人は、仰向けになれるくらいまで上半身を反ります。
まくらやタオルで首を保護しながら行ってください。
そこからバンザイすると、前もも、足の付け根からお腹までストレッチされるので、そこで深呼吸を3回します。
それでも余裕がある人は、手を頭の上でしっかり組んで肘の曲げ伸ばしをすると、肘を伸ばしたときに背中が持ち上がって伸ばされるので、そこで深呼吸します。
レベル3、レベル4、いずれのレベルでやる場合も3セット行います。
「両足正座で後ろに反るのはきつい」とか、「後ろに反るのが怖い」という人は片足ずつ行って徐々にゆるめるのがおすすめです。
片足を正座か横座りにして、もう片方の足を伸ばします。
正座してる側の足首がきつい場合は、クッションを敷いてください。
手を後ろに置いて、上半身を少し後ろにスライドすると、前ももがストレッチされるのでそこで深呼吸を3回します。
これで余裕があったら、手を少しずつ後ろにズラして肘がつくくらいまでいきます。
後ろにイスやソファなどの背もたれがあると、反っていったときの腰や首の負担が減るので安全です。
肘がつくくらいまで反れると、前もも全体がストレッチされる感じがあるのでそこで深呼吸を3回します。
レベル1、レベル2、いずれのレベルでやる場合も3セット行います。
『膝曲げで上半身を後ろに反らす』から『正座で仰向けで手を頭の上に向かって伸ばす』まで、レベル1〜4のなかでご自身ができる範囲で上半身をそらしていくことで、体の前面を伸ばします。
伸ばされる範囲に応じて、
・股関節のストレッチをするときの内ももの張りやソ径部のつらさをとったり
・脚を後ろに伸ばすポーズがやりやすくなっていきます。
横に開く開脚だけじゃなく、
「前後開脚で後ろ足の付け根がつらい」とか
「アラベスクで腰がつまる」といった場合にも使えるのでぜひ試してみてください。
体勢がきつくてできないときは…
もし、股関節や前ももがあまりにも硬くて、「正座したまま上半身を反らすと、膝が上がってうまくストレッチできない…」という方は、
過去動画『【太もも前が硬い】意外な原因と前ももストレッチしやすくするコツ』で紹介したリリース法を試してみてから再度チャレンジしてみてください。
体勢もスムーズにいきやすくなるはずです。
また、「膝が痛くて正座ができない」とか「後ろに反ると膝がキツくなる」という方は、腸腰筋のストレッチから始めると安全です。
腸腰筋を効率よく伸ばす方法は、過去動画『腸腰筋リリース』で紹介していますのでこちらをご参照ください。
まとめ
ではまとめいきましょう。
「背中の柔軟性を上げて、股関節ゆるめる」ということで、今回は、「股関節の硬さをとる意外なポイントとそのストレッチ」についてお話しました。
バレエなどの踊りでは、体幹を持ち上げることで、股関節の柔軟性をアップしています。
たとえば、お腹をベターっとつける開脚だったら、
・お腹がつかない、ひざが曲がるなら→腰の下
・内ももの張りが気になるなら→背中と腰の境目
・ソ径部がつらいなら→肩甲骨の間
といった感じに、背中が持ち上がるほど股関節も動かしやすくなるんですね。
そこで、セルフでできる対策を2つ紹介しました。
1つは、ひざの曲げ伸ばしで腰を伸ばす方法。
もう1つは、正座などひざを曲げた状態から上半身を反らして背中を伸ばす方法です。
どちらも股関節の硬さをとるのに使えるんですが、ゆるむ場所が違うので、セットで使うことでより硬さをとりやすくなります。
ひざやもも裏が気になる方は『腰を伸ばす方法』が、
足の付け根やソ径部、内ももがきつい方は『体の前を伸ばす方法』が
それぞれおすすめです。
ただストレッチだけをやるよりは、股関節の硬さが気になるポーズをストレッチの前後に挟むことで、柔軟性のアップと股関節を動かしやすくなったときのポーズの感覚をセットで確認しやすくなります。
「体が硬すぎてストレッチの体勢が見本通りうまくいかない」という方も、ポーズが最初よりもやりやすくなってれば、ストレッチもうまくいってます。
ぜひ少しずつ股関節の硬さを解消していってください。
おまけ
柔軟バレエ・ストレッチのp76~87に股関節の硬さをとる方法について解説していますので、本をお持ちの方はそちらも併せてご参照ください。
また
・専心良治・ラボ
・YouTubeメンバーシップ
では体のねじりを利用して股関節を開きやすくするリリースについて実技動画で解説していますので「詳しいやり方をちょっと見てみたいよ」っていう方は、お好きな方をチェックして続きをご覧ください。
以上参考になれば嬉しいです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
ぜひ明日からのレッスンに行かせてもらえたら嬉しいです。
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