こんにちは。島田です。
今回は『かかとをつけてしゃがみやすくするためのポイント』についてお話します。
「しゃがもうとすると、かかとが浮く」とか、
「かかとが床についたまましゃがもうとすると、後ろに転んじゃう」という話をきいたことがあるかもしれません。
バレエだと、「深いプリエをするときにかかとが上がる」という相談を受けることもあります。
また、「足首ストレッチしてるけど、アキレス腱が硬くてしゃがめない」という人もいるかもしれません。
そこで、
・しゃがむときに体のなかで起きてること
・かかとをつけてしゃがむポイントになる筋肉
・今日からできる対策
についてお話していきます。
しゃがみのメカニズム
しゃがむときは、
①足首や膝、股関節が十分に曲がりつつ、
②骨盤は後傾(こうけい)といって後ろに傾き、
③倒れないように重心を前に移すことで
深くしゃがめます。
骨盤の後傾が早く起こると、重心が後ろにズレて転びやすくなります。
そこで、多裂筋(たれつきん)という奥にある背筋で骨盤が後ろに倒れるのをコントロールしてるんですね。
この一連の流れでポイントになるのは足首のフレックスです。
足首を甲の方に反らす力がポイントなんですね。
かかとをつけてしゃがむポイントは足首のフレックス
なぜ、足首のフレックスがポイントになるのか?
それは、これに3つ役割があるからです。
①骨盤後傾のタイミングを決める
②膝から下の固定をする
③重心が前に行き過ぎないブレーキになる
順番にお話します。
先ほど、『しゃがむときに骨盤後傾のタイミングが早いと転ぶ』というお話をしました。
この骨盤の後傾は、足首のフレックスが十分されてからスタートします。
つまり、足首が硬くてフレックスが不十分だと、骨盤の後傾も早く起こるので重心が後ろにズレて転びやすいんですね。
また、膝から下を固定しておくことで、
・膝や股関節も曲げやすくなるので深くしゃがみやすくなったり、
・バランスをとろうとして重心が前に行き過ぎるのを防いでくれます。
カギになるのは前脛骨筋
このときのカギになる筋肉は、すねにある前脛骨筋(ぜんけいこつきん)です。
このスネにある筋肉が十分働くことで、フレックスしやすくなって深くしゃがみやすくなります。
でもここまで話を聞いて
「足首のフレックスなんてやってるけど転ぶよ」とか
「私は足首硬くてフレックスがやりづらい」って思う方もいるかもしれません。
そこにはある問題が隠れています。
それは浮き指。
指を伸ばす筋肉も、フレックス(足首の背屈)に参加します。
浮き指あるとかかとも浮きやすい
浮き指があると、足首をフレックスするときに、足首の根元じゃなくて指先からのフレックスになりやすいんですね。
指先でフレックスをして、足首の根元の方のフレックスが弱いと、すねにある前脛骨筋が働きづらく、かかとが浮きやすくなります。
なので、「フレックスしてるはずなのに、なぜか、しゃがもうとするとかかとが浮きやすい」という問題が起きるんですよね〜。
かかとをつけてしゃがみやすくする対策
じゃあどんな対策をすればいいのか?
「ふくらはぎのストレッチをするといいよ」と言われますが、ストレッチだけでなく足首をフレックスする筋力も増やした方がしゃがみやすくなります。
そこで、オススメなのが、
足首のフレックスをしたまま、呼吸に合わせて足の指をグー、パーと握ったり開いたりすることです。
聞くとシンプルですが、
こうすることで、いろいろな部分を同時に使うことができます。
足首のフレックスをしたままやるので、前脛骨筋を使います。
また裏側にあるふくらはぎのストレッチも同時に行います。
さらに、この状態で足の指を握ったり開いたりすることで、足の指の筋肉や内在筋(ないざいきん)といった奥の方にある筋肉も使うんですね。
足の指の筋肉は、足首も動かすので、フレックスしたまま握ったり開いたりするのは、意外とコントロールが難しいです。
力入り過ぎてつったりしないように、足の指を握って1回深呼吸、指を開いて1回深呼吸と、呼吸をしながら行うことで、足がつるのを防ぐことができます。
足首のフレックスをキープしながら行うので、ずっと前脛骨筋が使われた状態になります。最初はスネがしんどいかもしれません。
でも、だんだん慣れてスネが気にならなくなるころには、かなりしゃがみやすくなってるはずです。
まとめ
まとめると、
*かかとをつけてしゃがむポイントになるのは…足首のフレックスの強さ。
特に前脛骨筋(ぜんけいこつきん)というスネの筋肉が鍵。
*ここを強化して、しゃがみやすくするための対策
足首をフレックスしたまま、呼吸と合わせて足の指をグー、パーと握ったり開いたりする。
こうすることで、すねの筋肉の強化、ふくらはぎの筋肉のストレッチ、足の指や内在筋(ないざいきん)の強化を同時にできます。
1日1回からでいいので、ぜひ少しずつ取り入れてみてください。
【1】しゃがみこみ動作のバイオメカニクス〜骨盤と下肢関節角度の関係性と腰背部の筋活動パターンについて〜
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2016/0/2016_0658/_pdf/-char/ja
【2】しゃがみ動作の運動学・筋電図学的分析ー椅子への着座動作との比較ー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Ab0693/_pdf/-char/ja
【3】しゃがみ動作の三次元動作解析ー身体重心位置に着目してー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Ab0692/_pdf/-char/ja
【4】児童におけるしゃがみ動作の可不可および関節間協調性に関する要因
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/46/4/46_11546/_pdf
PS
今回は、足首の重要性についてお話しましたが、やはりしゃがむときやプリエをするときは股関節の可動域も必要です。