こんにちは。島田です。
今回は拙著バーレッスンハンドブックの中から一部を取り出して、『股関節の柔軟性をアップするバレエの動きロン・デ・ジャンブ』についてお話します。
目次
股関節の柔軟性をアップするロン・デ・ジャンブ
これは、バレエを踊る人が、股関節周りの柔軟性を上げるときにやる動きです。
もちろん、バレエをやらない人でも、股関節を柔らかくするのに使えます。
方法はシンプル。足先で床を擦りながら半円を描くだけなんですね。
というのも、それが股関節をソケットの中で引っかからないように動かす練習になるからです。
「なんだ、楽勝じゃん」って思うかもしれません。
ロン・デ・ジャンブでよくあるNG
でも、これをきちんとやるのが難しいんですね。「やってるよ」って人でも、『股関節の代わりにお尻が動いて、肝心の股関節は全然動いてない』ってことがよくあります。
骨盤が代わりに動くと、その分だけ股関節は動かないので、効果は半減します。
結果として、いざ踊る時に股関節がつまりやすくなるんですね。
じゃぁどうやったらいいのか、ロン・デ・ジャンブの解説と一緒にその辺もお話しているのでご覧ください。
ロン・デ・ジャンブのやり方解説
では、股関節周りの柔軟性を高めて、脚の可動域を広げるロン・デ・ジャンブについて解説します。
ロン・デ・ジャンブは、動かす方の足で床に半円を描く動きです。
股関節を起点にして脚を回すので、大腿骨頭がはまってる部分が動いて、股関節の周りの柔軟性を高めて、脚の可動域を広げてくれます。ターンアウトを上達させる効果的な動きです。
上半身はつねに引き上げをキープして、脚全体のアン・ドゥオールを保ちながら、脚だけを動かすのがポイントです。
特に斜め後ろを通るときに腰がブレたり、お尻が上がりやすいので注意が必要です。
では、まず準備から。
バーに軽く手を乗せて1番ポジションで立ちます。
そこから足を前に伸ばします。
かかとから足を前に出して、つま先は床につけたまま前に滑らせて、前タンデュの位置を通ります。
軸足で背伸びをするイメージでいると、ひざも伸ばしやすいですし、引き上げもしやすいです。
前タンデュの位置を通ったら、アン・ドゥオールを保ちながらつま先で弧を描くように、動足を斜め前に滑らせていきます。
つま先が床から離れないようにすることで、お尻の奥の筋肉が使われて股関節のターンアウトがキープされます。
軸足での背伸びをキープして上半身を引き上げておきます。
横のタンデュの位置まで動足を移動します。
軸足で背伸びするイメージで重心を軸足に保ちます。
そのまま後ろのタンデュの位置に向けて、つま先で床を滑らせていきます。
斜め後ろを通るときに腰がブレたり、お尻が上がりやすいので注意が必要です。
動足が伸びるように上半身をしっかりと引き上げます。
弧を描きながら、後ろのタンデュの位置を通るまで、動足を移動します。
後ろのタンデュの位置まで通ったら、かかとから手前に引き寄せて、1番ポジションに戻ります。
ロン・デ・ジャンブで股関節の柔軟性を上げるときのポイント
ちなみに、股関節を動かす上でいうと、重要なのは、円の形よりも指先で床を擦る動きです。
タンデュのところでも解説しましたが、つま先が床を滑る動きそのものが、お尻の奥の筋肉を使って股関節を回すことにつながります。
教室ではアン・ドゥオールを保つよう注意されると思いますが、足を外に向けようとするあまり、骨盤をズラしたり、ひざ下をねじるくらいなら、指先がしっかりと床を擦る方を重視した方が、後々でターンアウトをキープしやすくなります。
どうしてもお尻がズレる時の対処法
また、いろいろ注意してるのにどうしてもお尻が動いちゃう場合は、タンデュをつなぐ方法がお勧めです。
「タンデュって何?」と言う方は、鎌足の直し方の動画で解説していますので、そちらもご覧ください。
ロン・デ・ジャンブでは、前・横・後ろ、それぞれのタンデュの位置を通って半円を描きます。
これを分解すると、タンデュを全方向に伸ばしているようなものなんですね。
なので、いろいろな角度のタンデュをつなげていけば、結果として半円を描くことになります。
つまり、お尻が動いちゃう位置の方向にタンデュをしておくことで、円を描くときにお尻が動かなくなります。
あえて、斜め45度とか30度の方向でタンデュをしてみてからロン・デ・ジャンブしてみるとお尻が引っかからずに回しやすくなりますよ。
ただ、レッスン中にこれやると注意されると思います^^;当たり前ですが…
なので、レッスン前や自主練で試してみてください。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか?
お会いした方にこの話すると、「何気なくやってたロンデにそんな意味があったなんて…」とか「小分けに足伸ばすと股関節引っかからなくなった」というご感想をいただきます。
紙にペンで円を描くときみたいに、線通る道をあらかじめ作っておくことで、それをたどって綺麗な円が描きやすくなります。
お尻をずらさずに綺麗な円が描けるほど、股関節もソケットのなかで動くので、可動域が広がるんですね。
また、床を擦ることで、お尻の奥の筋肉が使われるので、ターンアウトをキープするのにも使えます。
バーレッスンハンドブックの本編では、骨盤が勝手に動かないように呼吸を使ったセルフ整体のやり方も解説していますので、そちらをレッスン前にやってみるのもいいかもしれません。
ぜひ、
・骨盤のズレを抑えつつ
・小分けに足を伸ばす
・床を擦る
で、股関節の動かせる範囲を広げていってください。