こんにちは。島田です。
現在、新刊(バレエハンドブックシリーズ第4弾)の作成中です。
今回は、
・体を整える人向けの話もあり
・ガチで柔軟性や踊りへのパフォーマンスに活かしたい人向けの話もあり
の本になる予定_φ(・_・
なので、バレエ教室でよく使われるストレッチや体操についても、
・なぜやるのか
・パフォーマンスにどんなメリットがあるのか
触れたいなと思っています。
その1つがブリッジ。
出版の編集の方からは
賛否両論あるようで、大人の教室でやるところは少ないようですが、子どもの教室ではかなり入るようです。できるとやはり背中や肩甲骨の柔軟性においてよいのでしょうか。
というお話をいただきました。
たしかに、大人からバレエを始めた方のなかには、フルブリッジやるのは大変な方も多いと思います^^;(理由は後述)
でも、お子さん(ジュニア)が通われるバレエ教室で取り入れているところが多いのには理由があるんですね。
そこで、
・ブリッジができると踊りでどんなメリットがあるのか
・体が硬い人でもブリッジをやりやすくするにはどんな順番でやっていくのがおすすめか
お話していきます。
目次
ブリッジの踊りに対するメリット
まず、ブリッジができると踊りにどんなメリットがあるのか、図にするとこんな感じになります。
①お腹を伸ばす、重心を前にしやすくする
これらは、最終的に
・アラベスクで足を上げたり、腰をつまらせないようにする
・前後開脚、開脚前屈のしやすさ
につながります。
お腹や前ももを伸ばすメリットについては、
・【股関節硬い】意外な原因と硬さとる2つのストレッチ |背骨の柔軟性で開脚前屈しやすくする
・開脚でもも裏の内側(内もも)が硬くなる意外な原因とその整え方
でもお話しているので詳しくはそちらもご覧ください。
②背中を伸ばして体を反らせる
背中で反れることで
・背中の柔軟性
・背中が落ちてるのを引き上げる
ことにつながります。
ちなみに、①、②どちらも体を反らしますが、関係性でいうと
①お腹を伸ばす→腰を立てる
②背中を伸ばす→胸を持ち上げる
ところに関係します。
また、背中を伸ばせることは、4番や5番など足をクロスして立つときに股関節を動かしやすくするのにもつながります。詳しくは【股関節硬い】意外な原因と硬さとる2つのストレッチ |背骨の柔軟性で開脚前屈しやすくするをご覧ください。
そして、この体を反らす原動力になるのが『腕と足の両方で床を押す』ことです。
③腕と足の両方で床を押す練習になる
腕の方は、肩甲骨(背中)から腕として使う(=体幹⇔肩甲骨⇔腕の連動ができる)ことで
・アロンジェで綺麗に腕を伸ばす
・フロアでグラグラするのが減る
・股関節のコントロール力UP
のにつながります。
背中で手が組めるなど、背中から腕として使えるとその分だけ背中の柔軟性に活かすことができます。
腕のガイドを使って背中で反りやすくする方法についてはバレエのレッスン後に腰痛になる原因でもお話しているので詳しくはそちらもご覧ください。
逆に、腕を遠くに伸ばす力が足りないと、足の付け根がつまりやすい原因にもなります。詳しくはこちらの動画『【足の付け根が痛い】足を横に上げると付け根が痛い意外な原因と3つの対策』でお話しています。
足の方は、遠くに伸ばす力が上がることで
・深いプリエ、ジャンプ
・ターンアウト力(かかとを遠くに伸ばして回す)
・ひざを伸ばす
・足上げで股関節がつまらない
のにつながります。
バレエの場合、基本動作のプリエで床を押すことで、様々な動きをやりやすくしています。
プリエの効果については、バレエでジャンプできる高さを上げるには?でもお話しているので詳しくはそちらもご覧ください。
などなど、ブリッジは『こういった体の使い方を1度に養っていける』体操なので、お子さんが通われる教室では取り入れるところも多いんですよね。単なる柔軟性の問題ではありません。
大人でブリッジが大変(苦手)な理由
なぜ、大人ではブリッジが大変なのか?
原因で圧倒的に多いケースは『腕や脚と体幹の連動が失われている』からです。
その原因で多いのは、デスクワークなど座って作業する時間が多くなるから。
これによって、腕と足の両方で床を押すのが弱くなるので、体幹を動かす力も足りなくなります。
また、腕で体を支える機会が少ないので、腕が床を押す力が弱い分だけまっすぐ上がれずに体を持ち上げる方向が偏ります。
結果として、
・お尻や肩が力んでつまる(手首や肩がきつい)
・背中や腰が固まる(腰を痛める)
・首に力が入って苦しい(首が危ない、呼吸ができない)
みたいな状態になりやすいんですね^^;
体が硬い人でもブリッジしやすくするには
とはいえ、踊りのなかでやりたい振り付け(アラベスク、パンシェ、アントルラッセなど)をもっと綺麗にするなら、ブリッジで強化できる①〜③をコントロールできる範囲が増えた方がやりやすいと思います。
そこで、ここからは体が硬い人でもブリッジをやりやすくするために、おすすめの順番をお話していきます。
①(お尻を持ち上げる)ブリッジ
まず始めにやりたいのが、手と足を使ってお尻(骨盤)を持ち上げるブリッジです。
・お尻やもも裏の筋肉強化
・重心を持ち上げる練習
・安全に手と足で床を押す練習
ができます。
この運動は仰向けで行います。膝を曲げて足を床につけ、腕は体の横に自然に置きます。足は肩幅くらいに開きます。
次に、お腹とお尻の筋肉を使って、腰を持ち上げます。このとき、両手を床にしっかりと押し付けて、肩を下に押し込む感じにします。
そのとき、肩から膝まで一直線になるように注意します。
このポジションで3秒〜8秒保ったら、その後ゆっくりと腰を下ろします。
これを10回繰り返します。
目安はだいたい2〜3セットです。
ポイントは、腰を持ち上げたときに肩から膝までが一直線になることです。腰を持ち上げすぎるとズレるので、上げ過ぎに注意してください。
もし、やっているときに「腰がつらいな・痛いな」というときはフォームがズレてるサインです。
その場合は、次の3つに注意してください。
①両手を床にしっかりと押し付けて、肩を下に押し込む感じにする
こうすることで肩を支点に腰が上げやすくなります。
②息を強く吐いてから腰を上げる
息を強く吐くことで、腹筋を使って腰を支えてから持ち上げられます。
③足で床をきちんと押さえる
地面を押さないと腰がぶら下がる感じになって重みがかかります。
なので、足で支えを作ることでその負担を軽くできます。
このとき、『グッと押し込む』というよりは足裏全体が床についてるか確認するくらいの方が床を押しやすいです。
では、足の付け根の前〜前ももを伸ばすストレッチについてお話します。
②ひざ立てランジストレッチ
次にやりたいのが、ひざ立てランジで足の付け根と前ももを伸ばすことです。
・ブリッジの①お腹を伸ばすの前フリ
・腰が伸びやすくなる
・足の付け根がつまるのを防ぐ
のが狙いです。
1. まずは片膝立ちの姿勢をとります。
前の足は膝が直角になるように曲げ、後ろの足の膝は床につけます。クッションを敷いて膝を保護しながら行ってください。
後ろ足のひざは股関節の真下にある方が、足の付け根の筋肉が伸ばしやすいです。
2. 体重を前の足にかけ、ヘソを前に押し出しながら胸を開きます。
このとき、胸を開く感じがわかりにくい場合は、タオルを背中側で持って縦に伸ばしながらやるとわかりやすいです。
ヘソを前に出そうとすると、後ろの足の足の付け根〜前ももが伸ばされる感じがあるはずです。
さらに、腹筋に力をいれてから行うと、腹筋で恥骨が前に引っ張られる形で骨盤が後傾されます。
骨盤を挟んで上下に伸ばす力がプラスされるので、ストレッチ効果が上がります。
3. このポーズで深呼吸を3回行います。
4. 反対側も同じように行います。
③前鋸筋にスイッチを入れて肩甲骨と体幹の連動性を上げる
次にやりたいのは、前鋸筋にスイッチを入れて肩甲骨と体幹の連動性を上げることです。
フルブリッジがやりづらい理由の1つは、腕が床を押す力がきちんと体幹に伝わっていないことです。
なので、前鋸筋(ぜんきょきん)という肩甲骨と体幹をつなぐ脇の筋肉にスイッチを入れることで、腕と体幹をつないで使いやすくします。
まず、指を下向きにして、手を遠くに伸ばします。
これは、前鋸筋を使って肩甲骨から腕を伸ばす前フリです。
次に、その状態をキープしたまま、手のひらを壁に付けます。
無理のない範囲で壁を押す感じにすると効果が高まります。
そこから、肘から手先に向けて、擦っていきます。
擦るスピードは1秒間に2回〜3回のリズムで。それを約10秒続けます。
コレだけです。
ポイントは、
①肘から先を伸ばすようにして壁を押す
②背を高く(姿勢まっすぐ)を保つ
ことです。
この辺の問題は体重が外側にかかってしまうこととも関係します。【浮指】つま先立ちすると小指が浮く意外な原因と簡単にできるセルフケアでもお話しているので、詳しくはそちらもご覧ください。
(フル)ブリッジのやり方
①(お尻を持ち上げる)ブリッジ
②ひざ立てランジストレッチ
③前鋸筋にスイッチを入れて肩甲骨と体幹の連動性を上げる
この3つで必要なパーツを鍛えたら、フルブリッジにチャレンジしてみましょう。
まず、マットの上に仰向けになり、両足を膝が曲がって床につけ、腕は体の横に自然に置きます。足は肩幅くらいに開きます。
次に、腹部と臀部の筋肉を使って腰を持ち上げます。同時に、両手を床にしっかりと押し付けて、肩を下に押し込みます。このポジションで3秒〜8秒キープします。
腰を上げ、肩を下に押し込む動きが容易にできるようになったら、肘を曲げて両手を頭の横につきます。
手を床に押し付けて、腕を伸ばすと体全体を反らすことができます。
「体を反ろう」と思うよりは、へそを天井に向かって持ち上げるようにすると、重心が持ち上がって体が反らしやすいです。
この状態で深呼吸を1回したら、息を吐きながら腰を下ろします。
慣れるまでは1回でも大変だったりするので、無理せずご自身のペースで行なってください。
※もし、やっていて肩や腰に痛みを感じる場合は、まだ条件がそろっていないサインです。無理せず、①〜③で必要なパーツを鍛えてください。
まとめ
ではまとめいきましょう。
『ブリッジのメリットを知って、無理せず必要なパーツを鍛えよう』ということで、
今回は
・ブリッジができると踊りでどんなメリットがあるのか
・体が硬い人でもブリッジをやりやすくするにはどんな順番でやっていくのがおすすめか
についてお話してきました。
ブリッジの踊りに対するメリットは
①お腹を伸ばす、重心を前にしやすくする
②背中を伸ばして体を反らす
③腕と足の両方で床を押す
を1つの動きで同時に鍛えられることです。
ただ、デスクワークが多いなどで腕や足の力が弱っていると、手足で床を押しきれず固まってしまいブリッジがやりづらいです。
そこで、体が硬い人でもブリッジをやりやすくするために、各パーツを強化するおすすめの順番をお話しました。
①(お尻を持ち上げる)ブリッジ
②ひざ立てランジストレッチ
③前鋸筋にスイッチを入れて肩甲骨と体幹の連動性を上げる
で、各パーツが鍛えられてきたらフルブリッジするときの感覚もつかみやすくなります。
ご自身に無理のない範囲でチャレンジしてみてください。
以上、参考になれば嬉しいです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
ぜひ明日からのレッスンに行かせてもらえたら嬉しいです。
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