股関節の痛み 治療

股関節の痛みに対する治療法とバレエレッスンに早く復帰する方法

こんにちは。島田です。

股関節の痛みを治療するとき、まずどうすればいいか、悩んだりしますよね。特にバレエを踊っている場合、一般的な整形外科で治療を受けるほかに、パフォーマンスを落とさないためのケアも必要だったりします。


とはいえ、股関節の痛みに対して、どんな治療法・どんなアプローチがあるのか知らない状態では、自分にあった方法を選ぶ材料がないと思います。


そこで今回は、整形外科で行う股関節の治療法、バレエで股関節が痛いときはどうするのか、セルフでできることやバレエのレッスンで気をつけたいことについてお話します。ぜひ参考にしてみてください。



バレエ整体ハンドブック ページ

股関節の痛みに対する治療法リスト


まずは、整形外科で股関節の治療をするときにどんな方法があるのか、手術しないで行うものと手術するものリストにまとめました。

股関節 痛み 治療法 整形外科

手術しないで行うもの

普通に整形外科に行った場合、まず行われる方法です。


①運動療法(うんどうりょうほう)

股関節の周りの筋肉を強化して、股関節の負担や痛みを減らすのが目的です。病院では、リハビリの先生(理学療法士)がリハビリのメニューを組んで指導してくれます。正しいやり方を知っていれば、家で自分でやることもできます。


②温熱療法(おんねつりょうほう)

痛めている部分を温めることで、血流を良くして、炎症(えんしょう)を軽くして痛みを抑えます。温めることで、筋肉や関節が動かしやすくなるので、①の運動療法と組み合わせると効果が上がります。正直、ただ電気をかけるだけよりは運動と合わせた方がいいです。


③薬物療法(やくぶつりょうほう)

炎症を抑える薬をもらったり、股関節に注射(ヒアルロン酸注射、ステロイドなど)して痛みや炎症を抑えます。


④装具療法(そうぐりょうほう)

歩くときに、杖や登山用のステッキなどを使うことで股関節の負担を減らします。手術や先天性の変形で左右で脚の長さがちがうときは、専用の靴を履いて高さを揃えます。


手術する

レントゲンなどで異常があり、その変形や症状が強い場合、手術が適応になることがあります。代表的な方法がコレです。


①骨切り術(こつきりじゅつ)

骨盤(こつばん)や大腿骨(だいたいこつ・太ももの骨)など股関節の周りの骨を切って、股関節のハマる角度を帰ることで負担を減らす手術です。日本では、臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)といって股関節のハマりが浅い方や初期の変形性股関節症の手術法として採用されてきました。


②人工関節置換術(じんこうかんせつちかんしゅじゅつ)

股関節のすり減った軟骨と傷んだ骨を取り除いて金属やプラスチックなどでできた人工関節に置き換える手術です。人工股関節は、カップや大腿骨頭の代わりをするボール、軟骨の代わりになる部品がはまって股関節の動きを再現します。最近は保ちもいいようで10年、20年と使えるものもあるようです。


バレエで股関節が痛いときの治療法

バレエの場合も、股関節の痛みの治療に関しては同じです。でも、バレエの場合、使いすぎ(オーバーワーク)に加え、体の使い方のクセなどによる影響もあります。(参照:バレエで足の付け根が痛いときの3つのタイプと、すぐできる対策


そこで今回は、①痛みをとるための方法と、②効果をキープするための方法をお伝えします。


①痛みが出ている部分を調整して回復させる

もっとも効果的なのは、適切な環境(股関節や周りの筋肉などが使いやすい位置にある状態)で休ませることです。回復しやすい状態にするには、いろいろな方法があります。ただ、治療法がありすぎてよくわからなくなると思うので、目的別でざっくり分けるとこんな感じです。

目的別 股関節の治療法

・関節や筋肉を使いやすい位置に直す
カイロプラクティック、整体(関節や骨にアプローチするもの)、筋膜リリース


・使いすぎた筋肉の疲労をとる
マッサージ、整体(いわゆる、ほぐし系)、鍼灸、筋膜リリース


・筋肉にきちんと命令が通りやすくする
鍼、カイロプラクティックや整体(背骨の調整など)、PNFストレッチ


それぞれに得意な部分、相性があるので、ご自身でしっくりくるものを選んでください。


②正しいフォームで筋力のバランスを直す

せっかく治療したり、整えたりしても、そのままでは効果は長く続きません。使いすぎの筋肉と弱い筋肉とバランスをとったり、股関節の痛みを引き起こすような使い方を直す必要があるんですね。


いわゆる「治療を受けてもすぐ戻る…」という場合、このプロセスが抜けています。


筋力のバランスをとるための方法を、目的別でざっくり分けるとこんな感じです。

・必要な部分を使う
正しいフォームでのレッスン(形だけ真似せず丁寧に動かす)、リハビリトレーニング、PNFトレーニング


・身体の使い方を身につける運動教育
ピラティス、アレクサンダーテクニーク、ジャイロトニック、ジャイロキネシス、ヨガなど


どれも、感覚をつかむには、ある程度の練習が必要になります。形にこだわるとかえって危険ですし、継続できた方が当然効果も高いので、先生との相性をみてしっくりくるものを選んでください。ちなみに私の場合は、ジャイロトニックとアレクサンダーテクニークのワークに9年間通っています。


セルフでできる
股関節の痛みを起こしにくくする方法

股関節の痛みの治療法について、整形外科で行われることやバレエの場合の方法などをお話してきました。ここまで読んで、こう思ったかもしれません。

「自分でできるものは、何かないの?」


股関節の痛みを起こしやすい人全般で使えるものだと、中殿筋(ちゅうでんきん)、大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)といった股関節の外側の筋肉や、内転筋をほぐしてから、鍛える運動が有効です。


寝ながらできる基本編
中殿筋と大腿筋膜張筋のトレーニング


やり方
①横向きに寝る
②足をまっすぐ伸ばして、ほんの少し前にする(5度〜10度)
③かかとを突き出すようにフレックスして行う
④足を横に上げる
⑤足を閉じるつもりでゆっくり下ろす



股関節の外側を支える中殿筋や大腿筋膜張筋、足を閉じるようにゆっくり下ろすことで内転筋を使うことができます。


この方法で効果が出ない場合、足を上げるときに股関節ではなく骨盤(腰)を動かしている可能性があります。別のところが動いてて、肝心の中殿筋に効いていないんですね。


ご自身の筋力や股関節の具合に合わせて、タオルを何枚か重ねたところに脚をおいてやってみてください。重さがかかるポイントを調整することで、股関節を支点に動かすことができます。


応用編・片足でバランスをとる

基本編が楽勝になってきたら、よりたくさんの筋肉を使って股関節を安定させる応用編にチャレンジしてみてください。


片足でバランスをとると、股関節の痛みをとるのに必要な、中臀筋、大腿筋膜張筋、内転筋などをまとめて使うことができます。また骨盤を平行にキープすることで、上半身と股関節をつなぐ体幹の筋肉も使うことができます。


今回は、ヨガの、木のポーズ(ヴリクシャーサナ)を紹介します。

股関節の治療法 片足立ち

やり方
①片足で立つ
②もう片方の足は膝を曲げて軸足につける

足裏で軸足を擦りながらやると効果的。
③胸の前で手は両手を合わせて軽く押し合う
バランスがとりやすい位置ならどこでもいいですが、胸の前で手を合わせると上半身のバランスがとりやすく、骨盤を平行にキープしやすいです。


バレエのパッセも、同じ原理で軸足を擦りながら足を上げます。ただ、つま先で軸足を擦るにはターンアウトが強くないと、擦る力をキープできずに股関節が内側に回ってしまって足の付け根に負担がかかるんですね。


なので、股関節が痛い方の治療やリハビリで使うには少し難しいかなと思い、足裏をつけられるヨガの木のポーズを紹介しました(参照:パッセで開かない…。膝が外に向かない理由とレッスンでできる対策)。


バレエのレッスンで気をつけたいこと


バレエのレッスンは、それ自体が優れた整体です。ですが、整体であるがために、無理して変なフォームでやると余計に痛めてしまうことになりかねません。そこで、股関節が痛いときはこの2つだけでも注意してください。


①オーバーワーク(やり過ぎ)に注意

これは練習がんばり屋さんに多いんですが、回復しきらないところで無茶して、治りを遅くしたりさらに痛めてしまったりします。まだ炎症が治まらない状態で動く場合、全力で頑張らないといけないようなレッスンは危険です。


とはいえ、不思議なもので、完全に何もせずに休んでいたら痛みが消えるか、というとそうでもありません。 やはり、踊る以上はある程度のポーズを支えられるように筋力を戻さないといけないので、早い段階でレッスンに復帰した方がいいんですね。


お勧めは、段階的に復帰していく方法。



バーレッスンは筋肉や関節をバレエで使いやすい位置に整えるのが目的です。ここで、股関節がきちんと動かせる位置でキープできるようにしておくと回復が早まります(※音に合わせて動くとまだつらい場合は、無理せず休んでください)
そして、


今日は、バーまでやる

今日は、センターまでやってリハなどは休む
↓ 今日は、…


など、痛みが許容できる範囲で、徐々に負荷を上げながらリハビリしていった方が、早く練習に復帰できます。


②股関節を動かしてるつもりが別のところになってる

もう1つは身体の使い方の問題。股関節を動かしてるつもりが、実は足先だったり、お腹をだしたり、骨盤や腰を動かしていることがあります。大人からバレエを始めた方が、特に注意すべきポイントは「開いて!」です。


「ターンアウトを開いて!」、「プリエで開いて!」、「5番もっと開いて!」など股関節の開きを注意されたとき、見た目を合わせようとして、上でお話したような別のところでカバーして動かしてしまいます。


きちんとしたレッスンを受けていれば、終わるころには前より開きやすくなっています。焦らずに、無理なく開ける範囲のターンアウトで動いてください。その方が、結果として股関節を痛めずに可動域を広げていけます。


ターンアウトや股関節の硬さがなかなかとれない場合、レッスンで意識してほしいところはたった1つ『床を擦ること』です。まずはこの1点に注目して、レッスンを受けてみてください。ターンアウトがキープしやすくなります。(参照:バレエで股関節が硬い4つの原因と、レッスンで意識したい2つのポイント )


まとめ

さて、いかがだったでしょうか? かなりボリュームがあったので、今回のお話をまとめると、

股関節の治療法は…
手術しない方法(運動療法、温熱療法、薬物療法、装具療法)と手術(骨切り術、人工関節置換術)がある。


バレエで股関節に痛みがあるときの治療法は…
股関節の治療法に加えて
①痛みが出ている部分を調整して回復させる
②正しいフォームで筋力のバランスを直すがある。


股関節の痛みをセルフでケアするなら…
基本編:まずは、中殿筋や内転筋を使う運動がお勧め。きちんと股関節を支点にして動かすように注意。
応用編:片足でバランスをとる。


バレエのレッスンで気をつけたいことは…
①オーバーワーク
②股関節のつもりが別のところ使ってるケース
バーレッスンを中心とした段階的な復帰と、床をする動きでターンアウトをキープしやすくしていくのがポイント

ぜひ、明日からのレッスンで活かしてもらえば嬉しいです。


バレエ整体ハンドブックについて
パッセ 開かない 膝が外に

パッセで開かない…。膝が外に向かない理由とレッスンでできる対策

こんにちは。島田です。

バレエを踊っていて、
「パッセで足がなかなか開かない…」
「開こうとしても膝が外に向かない…」
「開いてもピルエットで回る時は閉じちゃう…」

って経験ありませんか?


これらに共通することがあります。それは、『いきなり膝を外に向けようとしている』こと。


バレエはそれ自体が優れた整体です。膝が外に向くのにも、理由があるんですね。それに気づくだけでも、パッセで無理やり開こうとして足の付け根を痛めたり、ピルエットで足が閉じるのを少しでも防ぐことができます。


もし、なかなかパッセで開かない(膝が外に向かない)なら、ぜひ参考にしてみてください。



パッセ 足が閉じる

パッセで開かない原因

パッセしたときに足が開かない(膝の向きが内側)になるのは大きく分けると2つの原因があります。

パッセで開かない原因①軸足から足が離れている
パッセで開かない原因②ターンアウト不足で股関節が内旋(ないせん・内側に回ること)して、つま先を軸足につけていられない



パッセで開かない原因①
軸足から足が離れている

パッセするときは「軸足を通って足を上げて」とアドバイスされたことがあるかもしれません。

これは、軸足を通るのと、通らないのでは使う筋肉が違うからです。


軸足を通る  :股関節を開く筋肉を使う
軸足を通らない:前ももの筋肉を使う



詳しくは、後でお話しますが、軸足を通らずに足を上げることで股関節が開けず、膝を外に向けられません。


パッセで開かない原因②
ターンアウト不足で股関節が内旋して、つま先を軸足につけていられない

もう1つは、軸足をきちんと通ろうとしているのに、途中で足がきつくて(土踏まず、アキレス腱、もも裏がつりそうになる)軸足から離れてしまうことです。


これは、足をつけてまま膝まで上げるまでにはターンアウトが足りないことが原因。途中で股関節が内旋(ないせん・内側に回ること)してしまい、膝が内側に向いてしまいます。


なぜ、このような原因で足が開かないのか?これには、パッセで足が上がるメカニズムが関係しています。


パッセで足が上がるメカニズム

パッセで足が上がっていくのは、股関節が回る(ターンアウトする)からです。 その鍵になるのは、足を上げる時にきちんと軸足を通ること。


そうすることで、足がターンアウトされて、股関節が外旋(がいせん・外に回る)できる分だけ、太ももは外に向いていきます。結果として、膝のお皿も外に向きます。


つまり、パッセしたときに股関節が回っていれば、膝は自然と外に向いて足を開くことができます

パッセで足が開くメカニズム

パッセを膝だけで開くとどうなる?

反対に、開こうとして膝だけ外に向けるとどうなるか? 結論から先にいうと、この2つの問題を起こしやすいです。


①足の付け根(前側)を痛めやすい
②ピルエットするときに足が内側に閉じる



①足の付け根を痛めやすい

足が軸足から離れやすくなって、膝を上に持ち上げるような動きになります。


そうすると、前ももにある膝を持ち上げる筋肉(大腿直筋・だいたいちょっきん)が使われます。結果、この筋肉が縮みすぎて、足の付け根の前側を痛めやすくなります。

パッセを膝だけ外向けようとすると

②ピルエットするときに足が内側に閉じる

さらに、膝を外に開こうとするので、股関節が回りません。それでも膝を外に向いて見せるために、腰を後ろにねじって骨盤を開くことで、形をそろえることに。


この状態だと、バランスもとりにくいし、ピルエットするときには足が閉じちゃいます^^;


なので、これらを防ぐためにも、パッセで開こうと思ったら『軸足をきちんと通って足を上げる』ほうがいいんですね。


パッセで開く(膝が外に向く)には?

では、パッセで開く(膝が外に向く)ためにはどうすればいいか? レッスン中、意識したいのは次の2つです。


①足を上げる時に、軸足を通るように気をつける。
②上げるときは、指できちんと軸足を擦りながらやる。



ピルエットするときなど、一瞬で足を上げない時もそれは同じです。軸足を擦りながら足を上げることで、ターンアウトがキープできるので、回ってるときもパッセの形が崩れません。


でも、いきなりつま先で軸足をきちんと擦りながら上げるのは、意外と難しいはずです。

なぜなら、その分、『ターンアウト』と『指で床を押す力』が必要だから。

「それは、レッスン中のどこでやっているの?」って思いますよね。
まず押さえたいのは、次の3つ。


【1】プリエ

・お尻の穴が下を向いたまま、上げ下げする
・立ち上がる時に、もも裏やひざ裏をストレッチ(お尻が持ち上がって骨盤が立つ)


【2】タンデュ

・足を伸ばすときは床をきちんと擦る
・伸ばした後もしっかり床を指で押す


【3】ロンデ・ジャンブ

・指で床をきちんと擦りながら回す


いきなりパッセで膝ばかり開こうとしても、骨盤を広げたり(腰を後ろにねじったり)前ももの付け根を痛める危険性があるので要注意。


まずはこの3つを、注意点込みでマスターすると、『ターンアウト』と『指で床を押す力』が強化されて、パッセのクオリティが上がります。


まとめ

今回の話をまとめると、

パッセで足が開く・上がるのは…
軸足を通って足を上げることで股関節が開くから。ターンアウトできた分だけ膝が外に向いて足も上がる。


パッセで足が開かない原因は…
①軸足から足が離れているから。
②ターンアウト不足で股関節が内旋して、つま先を軸足につけていられないから。


膝だけ外に向けようとすると…
①足の付け根(前側)を痛めやすい。
②ピルエットするときに足が内側に閉じる。


レッスンで意識したいのは…
足を上げる時に、つま先で軸足を擦りながら上げること。
そのための準備として、
・プリエで、お尻の穴が下向いたまま、まっすぐ上げ下げ。
・タンデュ、ロンデ・ジャンブで、床をきちんと擦る。

ぜひ、明日からのレッスンで活かしてもらえれば嬉しいです。


パッセ 体が内側に回る

外反母趾だとバレエ踊る時にどんな影響ある?4つの特徴

こんにちは。島田です。

バレエを踊っていて、外反母趾(がいはんぼし)があると、「何が原因で悪くなるの?」「トゥシューズの影響かな?」「踊ってる時にどんな影響あるの?」などなど、いろいろ気になると思います。


バレエに限らず、外反母趾があると、踊りのパフォーマンスに影響するので対策が必要です。でも、対策といっても、ただ親指が離れていればいいというわけにはいかないんですね。


そこで、今回は外反母趾について、どんな状態なのか、原因やなりやすさ、踊りへの影響や対策についてお話します。ちょっとボリュームありますが、知っておくだけでも不安が減ると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。


外反母趾 バレエ

外反母趾ってどんな状態?


外反母趾の全体像を、簡単に図にするとこんな感じです。

外反母趾 インフォグラフィック

わからなくなったら、この図に戻ってもらうとイメージしやすいかも。
それでは早速いきましょう。


外反母趾とは

外反母趾って何なんでしょう?日本整形外科外反母趾ガイドライン(2014年)によると、こんな状態です。

外反母趾は、 母趾中央趾節関節(ぼしちゅうおうしせつかんせつ・MTP関節)で母趾が外反した状態。

日本整形外科外反母趾ガイドライン(2014年)より
外反母趾とは

外反母趾の解剖学的な4つの特徴


外反母趾には、解剖学的に大きな特徴が4つあります。

①第一中足骨の内反
②母趾MP関節が飛び出る
③母趾基節骨の外転+回内変形
④開張足


日本整形外科外反母趾ガイドライン(2014年)より
外反母趾 解剖学 特徴

…なんですが、用語が難しくてイメージしにくいと思います^^;イメージしやすい言葉に置き換えるとこんな感じ。

①第一中足骨の内反

これは、『土踏まずが落ちること』だとイメージしてもらうと、わかりやすいと思います。


②母趾MP関節が飛び出る

これは『親指の付け根が飛び出ること』です。外反母趾というとこのイメージ強いですよね?


③母趾基節骨の外転+回内変形

これは、ある程度外反母趾が進んでくるとなりますが、『親指の先が人差し指の方へ向いている』ことをいいます。


④開張足(かいちょうそく)

足が『横にベターっと広がった状態』です。扁平足(へんぺいそく)に近いイメージですね。


つまり、外反母趾だと『土踏まずが落ちて、親指の付け根が飛び出て人差し指のほうへ向いて、足が横にベターっと広がってくる』ということになります。

外反母趾の原因

外反母趾の原因にはどんなものがあるでしょうか?

原因

①家族歴がある
ご家族に外反母趾の方がいるとなりやすいです。(特に、お母さんやおばあちゃん)

②先天性(生まれつき)
生まれつき外反母趾の子もいます。

原因(かも)

①外側体重(小指体重)
②アーチの低下
③扁平足(へんぺいそく)


これらは、外反母趾を引き起こすと言われていますが、実は科学的な因果関係は証明されていません(なので原因『かも』にしてます)。

ただ、上の3つがあると親指の負担は確実に増えるので、親指の痛みの原因になります。

また、外反母趾がある人は、外側体重やアーチの低下、扁平足を起こしやすいです。


外反母趾になりやすい条件

では、どうなると外反母趾になりやすいのか?次の3つが外反母趾を引き起こしやすい要因と言われています。


①加齢でなりやすい

加齢で進行すると言われています。というか、年齢によってなりやすい(進行しやすい)タイミングがあります。

大人の場合:40代でなりやすくなります
子供の場合:思春期でなりやすくなります


②女性の方がなりやすい

男性と比べると、平均で4倍なりやすいです。(研究によっては8倍のところもあります)


③先が細くて、ヒールの高い靴でなりやすい

先の細い靴でヒールが7cm以上ある場合、外反母趾になりやすいです。



トゥシューズ(ポアント)の影響は?

よく「トゥシューズを履くと、外反母趾になりやすい」というお話を聞きますが、必ずしもそうではありません。

日本で行われた研究だと、特定のスポーツ競技で外反母趾が進行するということはないとのこと。陸上競技とクラシックバレエとの間で、外反母趾のなりやすさに差はなかったそうです。

参考文献 
1)小川正三、崎原宏、黒瀬純一:女性クラシックバレエダンサーにおける外反母趾について.足の外研会誌1986
2)鳥居俊女子陸上選手における外反母趾のX線所見.足の外研会誌1995

もし靴が原因なら、クラシックバレエの方が多いはずですからね。少なくとも、シューズのせいではありません。

ただ、1番ポジションやルルベのときに親指に体重を乗せすぎるクセがあるときは要注意。トゥシューズ(ポアント)を履くことによって、重心のかけ方が難しくなるので、親指の負担が増えて変形を早めたり、痛くなったりします。


バレエを踊るときの影響は?4つの特徴

では、外反母趾があると、バレエを踊る時にどんな影響があるんでしょうか?大きく分けると、次の4つの特徴があります。


①親指の付け根が痛い
②足裏に力が入りづらい
③重心が外へ行きやすい
④内転筋が使いづらい


バレエ 外反母趾 影響

①親指の付け根が痛い

親指が痛くなると体重が乗らないので、ルルベアップしたときや、ポアントで立った時に、かかとやアキレス腱に負担が増えます。


②足裏に力が入りづらい

足裏の内在筋が使えない(弱い)ので、アーチの低下が起きたり、つま先や甲が伸ばしにくかったりします。


③重心が外へ行きやすい

小指に体重が乗るようになるので、股関節や太ももの外側や、すねの外側に疲労が溜まりやすいです。


④内転筋が使いづらい

親指が使いづらいので内転筋にうまく力が伝わらなくなります。その結果、1番、4番、5番に入りづらかったり、足の付け根(内側)を痛めたり、回転がしづらくなります。



レッスンのときにできる対策

「じゃ、外反母趾のとき、レッスン中できる対策は?」と思いますよね?まずは、この4つの対策から始めてみるのがお勧めです。



①シューズを調整する

バレエシューズでもトゥシューズでも、指が重ならないようにピッタリなのが理想です。サイズについては、自己判断ではなく、教室の先生に見てもらうといいです。


つま先がきつくて、指の付け根に余裕があると、外反母趾が悪化しやすいので要注意。


②1番ポジションを見直す

ターンアウトするときに、大きい筋肉を使いがちだと、股関節が外にズレて回ってしまい膝が曲がります。この状態だと、1番ポジションにしたときに重心が後ろにズレないように、親指で踏ん張るようになるので余計な負担がかかりやすいです。


まずは1番ポジションにするときに股関節のなかで回す感覚を身につける方が、結果的に外反母趾を悪化させません(参照:ターンアウトの意味・使う筋肉・よくある悩みを徹底解説)。

③ルルベを見直す

ルルベをするときに、特にポアントで立つと、重心はほぼ親指の上にきます。なので、体が引き上がってない状態で行うと、体重が親指に乗ってしまい負担が圧倒的に増えます。


ターンアウトで床を押しやすくする以外にも、骨盤を立てたり(参照:バレエで骨盤を立てる理由。メリットと立てる位置)、足裏の筋肉を使ってつま先を伸ばす必要があります(参照:足裏の筋肉を使ってつま先を伸ばすポイント)。

④レッスン後に土踏まずとふくらはぎをほぐす

そして、少しでも外反母趾を予防するなら、レッスン後に、親指周りのマッサージに加えて、土踏まずとふくらはぎ(奥)をほぐすのがお勧めです。

どちらも体重を支えるときに使う筋肉があるので、親指に体重をかける負担を減らすことができます。


まとめ

さて、いかがだったでしょうか? かなりボリュームあったので、もう一度まとめると…

外反母趾だと
・土踏まずが落ちる
・親指の付け根が飛び出る
・人差し指のほうへ向いて指が重なる
・足が横にベターっと広がってくる状態になる。


外反母趾の原因やなりやすさは色々だけど、
・家族でなっている人がいる
・先細で7cm以上のヒール
・ホルモンバランスの変化が出る時期(思春期と40代)
は要注意。


踊りへのデメリットは、
①親指の付け根が痛い
②足裏に力が入りづらい
③重心が外へ行きやすい
④内転筋が使いづらいが起きやすく、ターンアウトのしやすさも含めて色々影響する。


レッスンでできる対策は
・シューズの調整
・1番ポジションの見直し(股関節を回す感覚を身につける)
・ルルベの見直し(足だけに頑張らせない)
・レッスン後は、土踏まずとふくらはぎの奥をほぐす


外反母趾について知ることで、少しでも不安が減らせれば嬉しいです。できるところから取り組んでみてください。

外反母趾 バレエ 親指の付け根