こんにちは。島田です。
バレエを踊っていて、O脚が気になることってありませんか?
O脚って何?
一般的なO脚(内反膝)は、両膝が外側に曲がって、左右のくるぶしをつけても膝の内側がつかないことをいいます。
バレエでは、
6番や1番ポジションで膝がつかなかったり、膝が曲がりやすかったり、外側体重になってふくらはぎの外がパンパンになったり…と踊るときに困った症状を起こします。
もしかしたら、あなたも一度は経験があるかもしれませんね。
O脚について、バレエの動きで気をつけたい部分や、自分でできる改善法をまとめました。
だいぶボリュームあるので、一般的なO脚の原因や検査、悪化する要因については、図にまとめておきます。
バレエのO脚に関係する部分は 4.バレエO脚の場合は? からどうぞ^^
1.O脚の原因
1-1.問題がないタイプ
①生理的O脚
赤ちゃんは、ナチュラルでO脚ですが、これは異常ではありません。(生理的O脚といって、歩き出していくと自然に矯正されて治っていきます)
見分け方は、2歳以降徐々にO脚が治っていくかどうかです。(6歳くらいにむけてX脚になっていく)
1-2.問題があるタイプ
②靭帯の異常
③ケガの後遺症
④先天性の骨の異常(遺伝性)
⑤後天的な骨の異常
⑥筋肉の使い方のアンバランス
2.O脚の検査
簡単な検査だと、気をつけの姿勢で、指が膝の間に何本入るか(2本、3本、4本)確かめたりします。
変形性膝関節症など、骨の変形をしっかり調べるなら、レントゲンで膝周りの骨を確かめた方がいいです。
なぜなら、見た目はO脚っぽくても、骨の変形がないことがあるから。外側体重で骨盤が広がっているときは、お尻が大きくなって、太ももが寄せられません。
また、身長があまりに伸びない場合は、ホルモンの問題(くる病など)のことがあるので、内分泌検査をするケースもあります。
3.O脚の悪化する原因
・年齢(変形性ひざ関節症)
・外側に体重がかかることが多い
・外側体重で歩く、座る
・つま先が外に開いたまま歩く
変形性ひざ関節症(OA)など、骨の変形を伴うものでない場合、多くは外側に体重をかけることで悪化します。
ここまでは、いわゆる一般的なO脚の話でした。
では、バレエ教室でO脚を注意されるときはどうなってるんでしょうか?
4.バレエでのO脚の場合は?
バレエ教室でO脚(以下、バレエO脚)を注意されているときは、外側に体重が乗って膝が外に乗っていることや、ターンアウトで1番ポジションにしたときに膝がつかないことをO脚と言っていることが多いようです。
これは、レッスンでの体の使い方や筋肉の使い方がうまくいっていなかったり、無理に使って膝やお尻太もも(外側)に負担をかけることで、アライメントがズレて起きます。
4-1.バレエO脚の症状
見た目の問題もあるかもしれませんが、踊るときに影響するものが多いです。
膝が外に開くので、
・1番ポジションにしたときに膝がつかない
外側体重になるので、
・片足バランスがとりづらい
・ルルベでカマ足になる
・すねの外側が張る
・アキレス腱や足首、ふくらはぎが痛い
5.バレエO脚になるメカニズムと原因
5-1.バレエO脚のメカニズム
練習中に、得意なところ苦手なところの差によって、使っている筋肉のアンバランスがでることで起こります。
あと、本来使わないといけない部分をはしょったりしても、フロアで踊るときに無理がかかるので、やはり外側の筋肉に負担をかけます。
骨盤(上)が横に広がる
↓↑
股関節が内側へ向いて外へズレる(大きい筋肉でターンアウトすることに)
↓↑
膝(大腿骨の下側、すねの上側)がねじれて外へ
↓↑
すねの横の筋肉が張って疲れやすくなる
↓↑
足首がカマ足やバナナ足っぽくなる
これは、どこからスタートしても起きます。
つまり、
・膝が曲がったままのターンアウト
・足首からターンアウトして股関節が開かない
・外側体重で、すねの外側の筋肉が張る
・骨盤がズレる
……
…
などなど、重心が外側にズレることは、バレエO脚を起こす原因になります。
それぞれの原因を詳しく見ると…、
5-2.原因1:無理なターンアウト
これは、5番や4番で無理やり形を合わせようとして、足だけそろえようとするとなります。
このとき、無理なターンアウトになってると、膝は曲がるはずです。
ターンアウトしてるとき、膝の向きとつま先の向きがズレているときは要注意です。
以前、大人からバレエを始めた方には、ひざ下まで外に開くせいで股関節が開きにくくなるというお話をしました(参照:ターンアウトでよくある2つの間違い)
それは、今回のO脚になるメカニズムが関係しています。
床が押せてない状態で、無理に足先をそろえると膝が曲がるので、これを繰り返すとO脚になるからです。
ちなみに、バレリーナの場合、大きい筋肉ではなく内側の筋肉を使ってターンアウトしているので、脚(股関節〜足首)まで一本で回せるので、膝が伸びたままです。なので、ひざ下がねじれることはありません。
また、仮にO脚だったしても、バレリーナの場合、踊るときはそう見えないように自分でコントロールしています。
5-3.原因2:足首から先にターンアウト
無理なターンアウトのきっかけになりやすいのが、足首から先に回すことです。
こうすることで、本当は股関節が回りたかった分を足首が使っているので、股関節の可動域が制限されちゃうんですね。
・仰向けに寝ると、つま先が開く
・ふくらはぎが太い
・座るときは内股にしづらくてガニ股のが楽
5-4.原因3:反り腰
O脚と反り腰って、一見関係なさそうですよね。
たしかに、反り腰になって腰が反っているのが問題ではありません。
反り腰は、腰の問題に思いがちですが、体の前後方向のゆがみなんですね。
そのバランスをとるため、膝が曲がりやすかったり、前ももが緊張したりします。この状態でターンアウトすると、内側の筋肉を使いづらくなります。(参照:バレエで反り腰を注意される理由)
猫背の場合も、この前後のゆがみパターンで、O脚になりやすくなります。
5-5.原因4:内転筋と外転筋のバランスが悪い
内転筋が弱いとO脚になりやすいと言われますが、実際は、外転筋(がいてんきん)と内転筋のバランスが悪ことでO脚になります。
つまり外転筋が強すぎる、あるいは弱いときもO脚になるんですね。
以前、片足でバランス取るときは、内転筋と外転筋(中臀筋)で骨盤を安定させているというお話をしました。(参照:ダンサーにとって内転筋がなぜ大事か)
O脚だと、膝が外に抜ける分、内側重心をキープできずに外側重心になります。
そして外側重心を内に入れようとして、親指を痛めることもあります。
5-6.原因5:外反母趾(がいはんぼし)
外反母趾の場合、親指に体重をかけにくいです。
なので、かばって足首がカマ足っぽくなります。
すねの外側が張って、体重が外にかかりやすい分、O脚になりやすいです。
これは、外反母趾なくても親指が痛い場合は、同じように痛い側の足がO脚になりやすくなります。
6.バレエO脚を改善する方法
遺伝性(先天性)のO脚や、変形性膝関節症で骨変形が起きてなってしまったO脚と違い、バレエO脚は改善ができます。
理由は、ほとんどが筋肉の使い方やクセ、アンバランスからきているからです。
なので、一番いいのはレッスンを正しく受けること…ですが、どのへんを意識すればO脚改善に使えるのか、お話します。
6-1.レッスンやレッスン前のO脚改善
バレエのレッスンを受けるときや、受ける前にほんの一手間くわえることで、O脚改善に近づきます。
例えば、
①内転筋を伸ばしたまま使う
2番ポジションから4番に移るときなど、内転筋を縮めずに伸ばしたまま使うシーンがあります。
また、2番で足を開いた位置から足を寄せるのも、外転筋と内転筋を両方使えるので有効です。(参照:ダンサーにとって内転筋がなぜ大事か)
②プリエで立つときに5秒かけてみる
プリエで戻るとき、一気に戻ろうとすると、背中が引き上がりません。
そうすると、股関節がインに入って膝が伸びないんですね。(O脚のメカニズムが発動)
プリエは、股関節を動かすことで背中を伸ばす運動です。
立ち上がるときに、膝が伸びきるまで待つことで、背中が伸びて股関節が開きます。
ただ、この背中を感じるところまで待つには、レッスンでは時間の関係上難しいと思います^^;
レッスン前にプリエするときに5秒かけて戻るようにしてみてください。背中の伸びが感じられたらうまくいってます。
6-2.日常生活でのO脚予防
①外側体重を直す丹田ウォーキング
これは体の中心を意識しながらあるくことで外側体重を直す方法です。
「ヘソ下の丹田(たんでん)に力を入れろ」って聞いたことありますか?
東洋医学では、気の集まるところとされています。
丹田ってヘソ下だけのイメージですが、実は上・中・下3つあるんですね。
●上丹田(眉間の高さ)
●中丹田(胸の真ん中くらいの高さ)
●下丹田(ヘソ下の高さ)
この3つを意識しながら歩くことで、自然と重心が中心によってきます。
いきなり3つは難しいと思うので、まずは、へそ下の高さから足だと思って歩くところからスタートしてみてください。それだけで歩くときに使う筋肉が変わります。
慣れてきたら、胸の真ん中から足→眉間から足と…徐々に足と思う位置を長くするのがポイントです。
ちなみに、5番ポジションは鎖骨や首のつけねくらいから足だと思って使うと入りやすいです。(参照:5番に入らないときに意識したいポイント)
O脚に関係する部分のツボ押し
今回は、O脚で負担が増える筋肉に効くツボを紹介します。
①前ももの筋肉(外側広筋・がいそくこうきん)
●伏兎(ふくと)付近
【刺激の入れ方】
触れてから5秒くらいかけて押していくか、押さえたまま10秒くらいおくのがポイントです。
②内転筋(ないてんきん)
●陰包(いんぽう)付近
●血海(けっかい)付近
【刺激の入れ方】
触れてから5秒くらいかけて押していくか、押さえたまま10秒くらいおくのがポイントです。(×3回)
③ハムストリングス
・くるぶしの下(前、真下、後ろ)
【刺激の入れ方】
皮膚を引っ張りながら前後に動かす。
ここは、ハムストリングスをゆるめる特殊ポイントです。それぞれの色の場所に対応しています(参照:ハムストリングスが硬い意外な原因)。
④ふくらはぎと足
三陰交(さんいんこう)〜陰陵泉(いんりょうせん)
【刺激の入れ方】
この範囲で痛いところを見つける。見つけたら両手で骨をつかむようにして両親指で5秒かけて押す(×3回)
太衝(たいしょう)
これは外反母趾など、親指が踏めないせいでアライメントが偏ったときに使います。
【刺激の入れ方】
押さえたまま親指に向かって圧をかける。そのまま15秒くらいおくのがポイントです。(×3回)
③インソール(足底板)でウォーキングサポート
ちなみに、器具を使うのであれば、普段履いてる靴にインソール(足底板)入れて足のアライメントを直すのもアリです。慣れるまで、土踏まずに違和感や、アライメント修正で起こる疲労はありますけどね。
もしインソールを入れるなら、オススメはソルボです。種類が豊富で外反母趾がある方用もあります。(参照:メーカーのホームページ・快適生活インソール)
まとめ
いかがだったでしょうか?
O脚は、太いお尻や太もも、外に広がった膝で美脚を邪魔するだけでなく、バレエを踊るときにやりづらさの原因になります。
レッスン前や、日常生活で少しずつO脚を改善することで、脚痩せはもちろん、回転系やバランスが取りやすくなりますよ^^ぜひ
P.S.
バレエの動きは、それ自体にきちんと解剖学的な意味があります。
無理して使ったり、本来使うべきところをはしょると、その分だけ負担が増えて痛みや硬さの原因になることもあるんですね。
せっかくバレエを踊るなら、楽しく綺麗に踊りたいですね^^